小型バッテリー搭載は正義!? アウディの新型電気自動車SUV「e-tron 50」の先進思想とは

2020年9月に上陸した、日本市場ではアウディ初となる市販電気自動車(EV)「e-tronスポーツバック55」に続き、2021年1月に登場した第2弾が「e-tron 50」だ。55よりも小型バッテリーを搭載し、軽量化と低価格化を実現したニューモデルだが、55とはどんな違いがあるのだろうか。その魅力はどこにあるのか。

より小型のバッテリーで軽量化と低価格化を同時に実現

 いまから電気自動車(EV)のアウディ「e-tron 50」が、いかに画期的なクルマであるかを紹介しようと思っているのですが、その前に、ガソリンが自動車の燃料としてどれほど優れているかを説明しておきましょう。そのほうが、e-tron 50の魅力がきっとわかりやすくなるはずです。

アウディ「e-tron 50 クワトロ アドバンスド」の走り

 EVのバッテリー容量を表す単位としてkWhが用いられますが、ガソリンのエネルギー量も同じkWhで表すことができます。ちなみに1リッターのガソリンは約9.3kWhになります。

 皆さん、初代日産「リーフ」のバッテリー容量を覚えていますか? 正解は、24kWh。つまり、ガソリンでいえばたった3リッターほどのエネルギーしか積んでいなかったことになります。

 もっとも、エンジン車とEVではエネルギー変換効率が大きく異なるので単純には比較できませんが、EVはこうした少ないエネルギーを大切に使いながら走る乗り物であることをまず覚えておいてください。

 なぜ、リーフのバッテリーがこんなに小さかったかといえば、バッテリーは高価で、しかも重いことが最大の理由。

 大きなバッテリーを積めば車両価格はどんどん上がるし、おまけに車重も重くなるから、バッテリー容量を大きくしても期待したほど航続距離は長くならない。だから、小さなバッテリーを上手に使って走らせましょうというのが、EVの基本的な考え方になっていたわけです。

 でも、アウトバーンをガンガン飛ばして、1日に何百kmもクルマで移動するのが当たり前になっているドイツの人たちに、この考え方は理解しづらかったのかもしれません。

 そこで彼らは、100kWh近い巨大バッテリーを積んだEVを開発。たしかに航続距離は400km以上まで伸びましたが、車重は2トン以上、車両価格は日本円で1000万円をはるかに超えています。

 だから「本当にそんなに大きなバッテリーが必要?」という、ある種の反動のようなことが起きたのは当然かもしれません。コンパクトカーを中心に、60kWh前後のバッテリーを積むEVが続々と誕生しているのは、そうした世の中の潮流を反映したものともいえます。

 アウディは、そうした時代の変化にいち早く気づいたドイツ車メーカーかもしれません。

アウディ「e-tron 50 クワトロ アドバンスド」のインパネ

 ちなみに2019年に同社の技術系取締役にインタビューした際、「いま、EVを購入しているのは、それが人生初のEVというお客様が大半を占めます。したがって航続距離が心配で、大きなバッテリーのEVを選んでしまう。きっとEVを2台、3台と買い重ねていくうちに『バッテリーは小さくても大丈夫なんだ』ということに気づかれると思いますよ」と語っていました。

 前置きがかなり長くなりましたが、そうしたアウディの先進思想を盛り込んだEVが、このe-tron 50なのです。

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