VAGUE(ヴァーグ)

手に入れやすく維持が辛いユーズド4座フェラーリ

 常にクラシックカー/コレクターズカー国際マーケットの指標となるフェラーリだが、マーケットとなる国や地方、あるいは車両の生産年代を問わず、2+2モデルはユーズドカーとしてマーケットに出回る際の値落ちが大きめになることで知られている。

 新車として販売される際には、フェラーリ量産モデルのフラッグシップとしてもっとも高価なプライスづけがなされる4シーターV12モデルながら、ユーズドカー市場に回ったのちにはもっとも買い求めやすいフェラーリともなり得るのだ。

 今回VAGUEでは、クラシックカー/コレクターズカーのオークション業界最大手のRMサザビーズ社が、2021年2月下旬にオンライン限定で開催した「OPEN ROAD FEBRUALY」オークションに出品された2台のV型12気筒2+2フェラーリについて、そのあらましと競売結果についてレポートしよう。

●2001 フェラーリ「456M GT」

  • 「グリジオ・ティターニオ(チタングレー)」ボディに「ネロ(黒)」レザーのインテリアの組み合わたフェラーリ「456M GT」の6速MT仕様(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 前任モデル「412」の生産終了から約3年後となる1992年にデビューした「456GT」は、どちらかといえば保守的なモデルが多かった従来の4座席V12フェラーリとは一線を画し、トランスアクスルの駆動レイアウトや総アルミ製ボディ、あるいは412から100mmも短縮された2600mmのホイールベースがもたらす俊敏性など、先進性やスポーツ性を明確に打ち出したモデルだった。

 ボディスタイルは、往年のフェラーリ+ピニンファリーナの名作「365GTB/4デイトナ」をモチーフとし、412までのノッチバックスタイルからファストバックへと回帰。ハンドリング性能も相まって、格段にスポーツ色を強めていた。くわえて、新規開発された65度バンク+ベルト駆動のV型12気筒5.4リッターエンジンは、当時のフェラーリ市販車のなかで最強となる442psを発生。最高速300km/hを超える高性能でも世界を圧倒した。

 1996年には4速オートマティックを組み合わせた「456GTA」が追加される。さらに1998年には内外装をリフレッシュし、さらにゴージャス感を強めた「456M GT/GTA」へと進化を遂げたのち、「612」に代替わりする直前となる2003年まで生産された。

 今回のオークションに出品された456M GTは、「グリジオ・ティターニオ(チタングレー)」ボディに「ネロ(黒)」レザーのインテリアの組み合わせで、2001年2月に生産。

 カナダのケベック州に新車としてデリバリーされ、以来同じ地に生息してきた。現状での走行距離はわずか3万kmにも満たないことを示すように、エクステリア/インテリアのコンディションは極上に映る。

 また、2015年5月に新しいピレリPゼロタイヤを装着したこと。最後のサービスは2017年2月におこなわれたことが記録簿に残されている。

 しかし、ベルト駆動エンジンではチェック必須であるタイミングベルトの交換記録などはないことから、オークション名である「オープンロード」に繰り出す前に、一度しっかりと整備することをRMサザビーズ社でも推奨しているようだ。

 オリジナルのサービスマニュアルおよびツールキットも添付されるこの456M GT、RMサザビーズ北米本社は10万−12万ドル(邦貨換算約1090万−1300万円)のエスティメートを設定した。

 日本国内を含む世界中のマーケットにて、安価なものならば500万−600万円の正札もあり得る456GTながら、この個体に1000万円を超える値付けがなされた最大の理由は、この時代の456では希少な6速マニュアル車だからに違いあるまい。

「M」以前の前期型中途から採用されていた英国リカルド社製4速ATは、同じ時期にマセラティ「3200GT」などにも採用されたものながら、かなりの難物であることが知られている。

 フェラーリ「400AT」から412時代まで採用されていた北米GM社製3速ATが頑丈だったのに対して、大小のトラブルとそれにまつわる噂が常について回ったとされる。

 したがって、単に生産台数のパーセンテージが少ないだけでなく、よりスポーティで信頼性も期待できる6速MT車ゆえに、強気の値づけがなされたと思われるのだが、実際の競売では予想外にビッドが進まなかったようで、残念ながら流札に終わってしまった。

 現状ではRMサザビーズ北米本社の営業部門による「Still For Sale(継続販売)」となっており、11万ドル、つまり日本円換算で約1190万円のプライスタグがつけられている。

Nextパリ・サロンのブースを飾った「612」の注目のプライスは?
Gallery【画像】通好みの渋色4座フェラーリのディテールをチェック(33枚)

page

RECOMMEND