「C」だけど「Sクラス」以上! 6ドアの「プルマン」とはどんなメルセデス?

メルセデス・ベンツから新型「Sクラス」がリリースされ、その最新技術に注目が集まっているが、メルセデス・ベンツのフラッグシップは、いつの時代も最先端技術が詰まっていた。そこで1960年代の超ド級高級リムジンの驚きの技術を紹介しよう。

世界に11台のみのスペシャルな6ドアとは?

 RMサザビーズ「ARIZONA」オークションに出品されたのは、428台が生産されたというロングホイールベース版600プルマンのなかでも、わずか42台のみといわれる6ドア構成の「バージョンC」である。

 さらに、純正のサンルーフとエアコンディショナーが取り付けられた、わずか11台のうちの1台なのだが、もともとこの1966年型の個体はほかのバージョンCたちとは少々異なる目的に使用されたといわれている。

●1966 メルセデス・ベンツ「600 6ドア プルマン」

ダイムラー・ベンツ社(当時)が保有し、シュトゥットガルト本社を訪れたエンジニアやゲストの移動手段として、長らく運用されていたメルセデス・ベンツ「600 6ドア プルマン」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby’s

 これらの車両の多くは、完成と同時に世界各国にデリバリーされていくのが通例だった。しかしこの個体は、ダイムラー・ベンツ社(当時)がそのまま保有し、シュトゥットガルト本社を訪れたエンジニアやゲストの移動手段として、長らく運用されていたという。

 ダイムラー・ベンツ社での就業を終えたのち、メルセデス・ベンツ特別車両部門ファクトリーにおけるメンテナンスサービスの元責任者として、この600プルマンを含む数多くの600たちのサービスを指揮していたクラウス・キエンレに売却された。

 その後キエンレは、シュトゥットガルト近郊の美しい田舎町、ハイマーディンゲンに、「Kienle Automobiltechnik(キエンレ・オートモビルテクニック)」社を設立。長年にわたって培ってきた専門知識を活用して、クラシック・メルセデスのレストアや修理に携わることになった。

 今回の出品車両は、現在のオーナーが2003年にキエンレ・オートモビルテクニック社から購入したとされる。アメリカ在住の新オーナーがわざわざドイツまで訪れた理由は、家族のドライブ旅行を快適かつ安心して楽しめる、メルセデス600の6ドアプルマンを見つけることにあった。そして彼の目的は、パーフェクトに達成されることになった。

 翌2004年春に米国に輸入された直後に、新オーナーは陸揚げ地のニューヨークからカリフォルニアの住居まで自走で搬送したという。さらにこの大陸横断マラソンののちにも、家族のドライブ旅行で数々の思い出づくりに貢献したとようだ。

 技術的にはきわめて洗練されている一方、複雑な「マシン」であるこの600プルマンは、カリフォルニア州アーバインにある「メルセデス・ベンツ・クラシックセンターUSA」の専門家によってサービスが継続され、その内容はすべてドキュメントに残されている。

 今回の出品者のもとでおこなわれた作業には、ステアリングシステムやベルトドライブ、エアサスペンションのオーバーホールも含まれている。

 6人の乗員のための近代的なエンターテイメント装備のみは少々アップグレードしたものの、依然としてミッドセンチュリーの存在感を保持している、この1966年型メルセデス・ベンツ600プルマン・バージョンCに対して、RMサザビーズ北米本社は27万5000−32万5000ドル(邦貨換算約2900万−3430万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。

 これは、ここ数年3000万円前後で取り引きされる事例が多い600プルマンとしては、きわめて順当なプライスといえるだろう。

 そして2021年1月22日にスコッツデールでおこなわれた競売では、オークションハウス側に支払われる手数料込みで34万6000ドル、日本円に換算すれば約3620万円で落札されることになったのである。

Gallery:【画像】後部座席はどうなってる? 6枚ドアのメルセデス(33枚)