買うなら今!! ポルシェ「964型911」の中古価格が上昇し続ける理由【中古車至難】

特徴的なRRレイアウトを採用し続けながらも、最新型の992型では速さと安定感を極めたポルシェ911。そんななか、市場価格がひと昔前と比べて2倍以上になるなど、価値を上げ続けているのが、クラシカルな空冷エンジンを搭載する「964型」。すべての愛好家を唸らせるその魅力は一体何だろうか。

数値では語れない感性に訴える走り

 ……というような諸々に加え、他にも、ハンス・メッツガー博士が開発を統括した「M64」という新型フラットシックスエンジンのトルク特性や燃焼効率の素晴らしさ等々もあるのだが、挙げていくと本当にキリがない。

 それゆえ、ここではあえて「乗ればわかる!」という乱暴な言い方をさせていただきたいと思う。

 ヴァイザッハの英知が生んだきわめてソリッドなフィールと、それと同時にある、いまや古くさい「空冷エンジン」ならではの野蛮な咆哮とダイレクト感が織り成すよい意味でのアンバランス感。それこそが964型ポルシェ911の魅力であり、水冷化および電子制御化された現代のポルシェ911では絶対に味わうことのできない、ワン・アンド・オンリーな世界観なのだ。

ターボモデルでは、おなじみのワイドに張り出したリアフェンダーを採用。2本のテールパイプのうち、右の1本が純粋な排気で、左がウエストゲートとして使われる(C)Porsche AG

 その中古車相場は現在、前述したとおり5MTカレラ2の良質物件が「700万円台から800万円台スタート」といったところで、ティプトロニック(4速AT)は600万円台から700万円台スタートというイメージ。

 安価とは言い難い相場だが、もしも「世界遺産にも近いサムシングを手に入れる」と考えるのであれば、実はさほど高くはないのかもしれない。

 もちろん、希少なターボ2や3.6リッターとなった「ターボ3.6」が欲しいとなると2000万円以上、あるいは4000万円以上の予算が必要となり、一般的な自然吸気エンジンのカレラ2でも、走行距離少なめの個体は1000万円か1200万円スタートというのが昨今の状況ではある。それゆえ世界遺産うんぬんは別として、高いことに変わりはないクルマであることに間違いはない。

 だが、冒頭付近で筆者が申し上げた「阿呆らしい相場」というフレーズについては、訂正を入れる必要があるだろう。

 964型ポルシェ911よりも速いクルマは、世のなかにそれこそ星の数ほど存在している。しかし964型ほど、自動車機械を愛好する人間の心をときめかせてくれるクルマは──もちろんそれにしたって964型が唯一というわけではないのだが──決して多くはない。

 つまりそこにあるのは「希少価値」であり、その希少価値は、年々上がり続けることが決定している。なぜならば、こんな類のクルマが新車としてポルシェ社から登場することは、もう二度とないからだ。二度とないのである(大切なことなので2回言いました)。

 未来を正確に予想することは誰にもできない。それゆえ、現在は小康状態ともいえる964型ポルシェの中古車相場が今後どうなるのか、筆者にはわからない。だが少なくとも、再び何かのタイミングで鋭角な上昇曲線を描き、結果として「普通のカレラ2ティプトロニックでも1500万円」的な未来が到来したとしても、筆者は驚かないだろう。

 964型ポルシェ911という中古車に対しての正しい態度は、林修先生ではないが「今買うか?」と、「もはやこれまでとキッパリあきらめるか」の、実は2種類しか存在しないのである。

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