VAGUE(ヴァーグ)

お安くなっても1500万円オーバーもするバブルカーとは?

●1958 メッサーシュミット「KR 201ロードスター」

  • メッサーシュミット「KR200」のロードスター版「KR201」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 今回「THE ELKHART COLLECTION」には、メッサーシュミットKR200のロードスター版「KR201」も出品されていた。

 タンデム(前後一名ずつ)に座る乗員から見ると、右側に開いて車内にアクセスする、プレクシグラス製の透明バブルトップ(ソフトトップに交換も可能らしい)を廃し、ドアもいさぎよく廃された。

 そして、まるでフォーミュラカーのごとくスポーティな雰囲気を醸し出すことから、当時のメッサーシュミット社や現在に至るファンの間では「スポーツカー」と位置づけられてきたようだ。

 RMサザビーズ社のWEBカタログでは「Nicely restored condition throughout(全体的に好ましくレストアされたコンディション)」と謳われるこのKR201ロードスターに設定されたエスティメートは、5万ー7万5000ドル。

 スタンダードのキャビンがついた「KR200」よりも、生産数/残存数ともに非常に少ないことから、かなり高めの予想がなされていたのだが、実際の競売では手数料込みの5万3200ドル、日本円に換算すると約550万円という、希少価値とコンディションの良さを裏づける結果となった。

●1960 F.M.R.「Tg500タイガー」

  • メッサーシュミット社は、キャビンスクーター部門をフリッツ・フェンドらに事実上譲渡し、新たに発足した「F.M.R」社でつくられた「Tg500タイガー」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 1956年から航空機生産再開を許されたメッサーシュミット社は、キャビンスクーター部門をフリッツ・フェンドらに事実上譲渡し、新たに発足した「F.M.R」社に移行。「Tg500タイガー」は、F.M.R.ブランドで1958年に登場した四輪モデルだった。

 本来シティコミューターとして生を受けながらも、結果としてスポーツカー的なキャラも帯びることになったメッサーシュミットKRの性格を、独ザックス社製494cc空冷2サイクル直列2気筒エンジンを搭載することにより、一段と強めた。

 最高出力19.5hp/5000rpm、最大トルクは33Nmを発生し、トランスミッションは4速マニュアル。車両重量350kgで、最高速度130km/hに達したという。

 KR175/200系では後退時にはエンジンをいったん停めて、逆回転で始動させてリバースしていたのだが、4輪のタイガーでは通常のリバースギアが初めて組み込まれた。

 生産期間は3年ほどで、その間に作られたのは320台のみ(ほかに諸説あり)。つまり、超絶的なレア車である。

 かつて3輪のメッサーシュミットKRが200ー300万円で入手できた時代には、タイガーは概ねその2倍。500万円オーバーで取り引きされていたと記憶しているのだが、2010年代以降にアメリカを中心に巻き起こり、欧州や日本にも波及した「バブルカー・バブル」を象徴するかのように、2000万円越えの販売事例が続出してきた。

 ただ、新型コロナ禍以降、少々不安定となっているクラシックカーマーケット市況を鑑みてだろうか、RMサザビーズ社ではエスティメートを15万ドルー25万ドルという、かなり幅のある設定をおこなっていた。

 ところが当時の競売では、リザーヴ(最低落札価格)が設定されない「100% SELL THROUGH(全車売り切り)」だったため、こちらもエスティメートを割りこむ14万5600ドル(邦貨換算約1520万円)で落札されることになったのだ。

 オークションカタログでコンディションを見る限りでは、かなりのお買い得とも見受けられてしまうが、その一方でこのクルマを頂点とする「バブルカー・バブル」にも、ようやくの終息傾向が見られるようになったとも考えられよう。

Gallery【画像】カワイイ! ケロヨンみたいなバブルカーとは?(32枚)

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