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輸入車人気ナンバーワン「ミニ」のグレード名、クーパーって何のこと?

ミニの高性能サブブランドになった「ジョン・クーパー・ワークス」

 この最初の「ミニ・クーパー」は、素のミニよりもエンジンの排気量を大きくし、パワーをアップ。それに合わせて前輪にディスクブレーキを採用するなど、パワーアップに見合う改良が随所におこなわれていた。

  • 1967年モンテカルロラリーでのMiniクーパーS。操るのは伝説のドライバー、ラウル・アルトーネン氏

 そして、その“速さ”は、すぐにコンペティションの世界で証明される。

 発売翌年の1962年には、国際ラリーやサーキットで優勝。とくにラリーでの活躍は華々しく、モンテカルロラリーでは、大パワーを誇るポルシェなどを蹴散らし、1964年、1965年、1967年と総合優勝を成し遂げる。

 1966年は最初にゴールするものの、ヘッドライトの車両規則の問題で失格に。つまり、それさえなければ1964年から1967年までを4連覇したことになるのだ。

 こうしたコンペティションの場での活躍で、ミニ・クーパーの名は絶対のものになった。ミニの高性能版だけでなく、一時はミニそのものを指す言葉として「ミニ・クーパー」の名を覚える人もいたくらいであったのだ。

 ちなみにクーパー親子は、1960年代までF1の世界で戦い続けたが、父の死去などにより、1965年にチームを売却。レースの世界から遠ざかるものの、ミニのチューニングは、その後も継続していた。

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 そして、時代を経て、2000年からは、BMWの傘下から新世代のMINI(ミニ)が生まれる。

 そこで、クーパーの名称は、高性能グレードに使われることになった。一方で、BMWは、ジョン・クーパー・ワークス社を同年に設立し、新生ミニ専用チューニング・アクセサリーを提供することに。

  • 2003年10月に登場した、ミニ・クーパーおよびミニ・クーパーS用のエンジン/給排気系チューニングキット「ジョン・クーパー・ワークス(JCW)チューニングキット」。ミニ・クーパー用が39万2000円(税別、以下同)ミニ・クーパーS用が69万8000円だった

 そうしたチューニング・キットは高い人気を集める。そして、2007年にはJCWエンブレムを冠したチューンナップ・モデルが誕生。翌2008年には日本にも導入されることになる。これが今に続く、JCW(ジョン・クーパー・ワークス)モデルの起源だ。

 新生ミニも、1960年代と同じようにコンペティションの世界へと投入される。2011年にMINI John Cooper Works WRCが世界ラリー選手権(WRC)に参戦。2012年から2015年にかけてはダカール・ラリーを4連覇。コンペティションの世界でのミニの強さを新世代モデルでも再現して見せたのであった。

 現行ミニのラインナップにもクーパーの名を与え、そして、最高レベルのチューニングカーはJCW(ジョン・クーパー・ワークス)と呼ぶ。これもすべてミニとジョン・クーパー氏の栄光の歴史が由来となっているのだ。

Gallery ミニとジョン・クーパーの歴史を画像でチェック(32枚)
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