遅れて日本に上陸した2リッターディーゼル搭載モデル
アウディ「A7スポーツバック」は、「A6セダン」や「A6アバント」(ワゴン)とホイールベースが共通の同じプラットフォームだから、兄弟車種と呼んでもいい。しかし美しい4ドアクーペのスタイルをまとい、使い勝手の良いハッチバックを設けて別格扱いとし、ネーミングもA6シリーズよりもワンランクアップした。
2代目となる新型A7スポーツバックには、3種類のエンジンが用意された。2019年の日本デビュー当時は、2リッター直列4気筒ガソリンターボの「45TFSIクワトロ」、3リッターV型6気筒ガソリンターボの「55TFSIクワトロ」の2種類だったが、今回2リッター直列4気筒ディーゼルターボの「40TDIクワトロ」が加わった。
A6と同様A7スポーツバックもエンジンは縦置きで、その後ろにあるトランスミッションを通じて後輪を駆動し、前輪はエンジンとトランスミッションの間にあるデファレンシャルギヤを介して駆動するクワトロ(4WD)だ。
撮影した試乗車は、真っ赤なA7スポーツバック 40TDIクワトロである。全長4970mm×全幅1910mm×全高1405mm、ホイールベースは2925mmで、ほぼA6並みの大きめなボディサイズである。
エンジンスタートストップボタンを1回押すと、ディーゼルエンジンは上品に目覚める。これはアイドリングストップからの再始動時でも同様で、スターターモーターのピニオンギアが飛び出して、ギアが噛み合って回るときの嫌な音はあまり聞こえない。
走り出すと204ps/3800-4200rpm、400Nm/1750-3000rpmの最高出力と最大トルクを発揮できる2リッターディーゼルターボは、意外にも穏やかな印象だ。
アクセルペダルの踏み始めのゲインが低めだ。低速からトルクフルなディーゼルエンジンをイメージしていたら少しもの足りないくらいに感じる。通常の流れに乗って走るぶんには問題ないが、キビキビ走ろうと思うと、ゼロ発進時からトルクが欲しいと思うだろう。
たとえばアクセルペダルをいっぺんに深く踏み込んだとしたら、スルスルっと加速が始まってタコメータが2000rpmを指すころにドッとトルクが盛り上がってくる。スペックでは1750rpmから最大トルクを発揮できるが、スタートでアイドリングからアクセルを踏み込んだとするとターボラグが多少出ている感じだ。ただし一旦走り始めれば、このターボラグは感じることはないだろう。
7速Sトロニック(7速DCT)との組み合わせで、WLTCモード燃費は16.1km/L。ガソリンは満タンで63リッター入るから、計算上では1014km走ることができる。WLTCの高速モード燃費は17.6km/Lだから、およそ1100kmを超える長距離ドライブ能力を持つことになる。しかもハイオクに比べてリッターあたり30円くらい安い軽油なので、経済的にも有利だ。
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