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渋滞で手放し運転できる機能って自動運転? スバル「アイサイトX」で考えた

ステアリングから手を離して運転できる「ハンズオフ」機能

 ステアリングから手を離して運転できる「ハンズオフ」の機能に注目が集まっている。

 2019年より、BMWの「3シリーズ」や日産「スカイライン」にも搭載され、2020年11月末に発売されるスバル新型「レヴォーグ」にもハンズオフ機能を含む「アイサイトX」が搭載されることが決まったからだ。

  • 手放し運転の「ハンズオフ機能」は自動運転なのか

 ただ、ハンズオフに対する誤解も少なくない。手放し運転ができるとなれば「もしかして自動運転が実現できた?」と勘違いする人も少なくないようなのだ。

 このハンズオフを理解する上で知っておくべきこと、それは自動運転の基本概念だ。ここで重要なのは、走行中における責任を誰が負うかということにある。

 現在は部分的に自動化が進んでいるものの、運転中の責任はドライバーが負う。アダプティブクルーズコントロールやプリクラッシュブレーキといった機能は、あくまでドライバーの運転をアシストする先進安全運転支援システム(ADAS)に過ぎず、事故の一切の責任はドライバーにあるのが今の状況なのだ。

 一方で自動運転という概念は、運転の責任がシステム側にある。この状態で仮に事故が起きれば、ドライバーは運転をしていないから責任はなく、その責任はシステムが負うことになる。言い換えれば、この責任をシステムが終える段階にまで達しなければ、自動運転は実現しないということになる。

 しかし、この実現までのハードルは極めて高く、現状では技術的にも法律/制度的にも、その段階には達していない。

  • 国内モデルとして初めて「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」を搭載したのはBMW「3シリーズ」。2019年4月に導入された

 ならば現状のハンズオフ機能はどういったものなのか。新型レヴォーグを例に説明しよう。

 新型レヴォーグが実現しているのは、高速道路を走行中に、50km/h未満の速度域でハンズオフが可能となるものだ。これは、高速道路での渋滞時の利用を想定して搭載されており、モード時は停止と発進を繰り返す渋滞でもスイッチ操作なしに追従できる。これだけなら、50km/h未満での自動運転を実現していることになる。

 しかし、このシステムで重要なのは、ドライバーが前方を視認していることを作動条件としていることだ。

 そのために、新型レヴォーグではダッシュボードの中にドライバーの視線を監視する赤外線センサーが組み込まれている。これを使ってドライバーが前方を見ているか、昼夜を通してチェックしているのだ。

 仮にドライバーが前方を見ていないことをシステムが気付くと警告音を発し、それを放置すればハンズオフ機能は直ちに解除されてしまう。

 これこそが、ハンズオフであっても、走行中の運転の責任はドライバーが負っていることを示している証なのだ。

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