世界で最も醜いクルマ!? 時代の先を行き過ぎた「ざんねんなイタフラ車」3選

日本だけでなく、アメリカやドイツ、さらに中国や韓国など、世界中にさまざまな自動車メーカーが存在する。グローバルな時代、それらは世界中で販売されているが、必ずその自動車メーカーが存在する国の特徴があるもの。デザインに優れたモデルが多いイタリア・フランス(イタフラ)車だが、じつは攻めすぎて失敗したクルマもある。そんなイタフラ車で、セールス的には成功しなかったミニバンを3車種見てみよう。

デザインに優れたイタフラ車だが、攻めすぎて失敗したモデルも存在

 クルマを生産する自動車メーカーは、世界各地に存在する。

 しかし面白いもので、同じようなクルマを作っても、そこには必ずといっていいほど、その自動車メーカーの属する国の特徴を見てとることができるのだ。

 日本のクルマは、やはり几帳面な国民性もあってか、良品廉価なものになる。合理主義のドイツのクルマは、やはり技術を重要視しているのがわかる。また、広大な国土があり、さまざまな人種がひしめきあうアメリカのクルマは、どこか大らかな余裕があり、誰もが分かりやすいストレートな主張がこめられている。

 そんな中で、とくにデザイン面に秀でているのが、イタリアとフランスのクルマだろう。イタリアには、フェラーリやランボルギーニというエキゾチックなデザインを誇るスーパーカーブランドが存在する。フランスには、奇抜さという点で誰にも追従を許さないシトロエンがある。

コンセプトは良かったけれど、販売的には大苦戦したモデルもある

 そうした特異なブランドを生み出せることができたのは、イタリアとフランスという国に住む人々の趣味嗜好という国民性という土壌があったからだ。

 たとえば、廉価なコンパクトカーのデザインに注目してほしい。現在の、イタリアを代表するコンパクトカーはフィアット「500」だろう。1950年代に生産された旧型モデルの姿を大胆に現代に復活させたフィアット500のデザインは、誰もが好感を持って眺め、そして、いつまでたっても古びることはない。

 そのフィアット500に誕生は、今を遡ること14年も前となる2007年なのだ。それでもセールスはいまも堅調。その理由は、優れたデザインにあることは誰の目にも明らかだ。

 一方、フランス車でもオーセンティックなポジションのブランドがある。それがプジョーだ。

 しかし、最新のコンパクトカー208のデザインが保守的だと思う人は少ないだろう。フロントバンパーに配したLEDのライトは、牙のように見える。室内に目をやれば、ステアリングの小ささに、誰もが驚くだろう。つまり、イタリアもフランスも大衆が利用するコンパクトカーから、デザインが優れたものになっているのだ。

 しかし、“諸刃の剣”が危険というように、デザインに力を入れるほど、攻めすぎてしまう危険も大きくなるもの。ほんの過去10~20年を振り返るだけでも、イタリアとフランスには、ちょっと攻めすぎたデザインのクルマが数多く世に送り出されている。

 今回は、そんなイタリア&フランスメーカーから登場し、販売的には失敗に終わった3台のミニバンを紹介しよう。

●フィアット「ムルティプラ」(FIAT MULTIPLA)

フィアット「ムルティプラ」。3人がけ×2列の6シーターモデルだった

 フィアット「ムルティプラ」は、1950年代に人気を集めた初代モデルを1998年に復活させたMPV(多人数乗車)モデルだ。日本でも2003年に発売された。

 このモデルの特徴は、そのルックスにある。全長は4mほどなのに、全幅が1875mmもあったのだ。しかも、ウエストラインは普通の乗用車のようであるのに、キャビンが上に伸びている。つまりグラスエリアが非常に広い。フロントマスクもどこか奇妙だった。

 その特異なスタイルから、「世界でもっとも醜いクルマ」などと評された。そして、もちろん日本でのセールスもさっぱり。まったく売れなかったのだ。

 ただし、妙に幅の広い車体にはちゃんとした理由があった。6人乗車を2人掛けシート×3列ではなく、3人掛けシート×2列で実現していたのだ。

 そのため2人から4人で利用するときは、3列シート車よりも一人に広いスペースが提供されることになる。また、頭上空間が広いことの有効性と快適性は、日本の軽自動車でも証明されている。意外と、パッケージングは悪くないクルマであったのだ。

 ボンネットを高くした後期型は、もう少しましに見えたが、逆にインパクトは弱かった。「醜い」と称されたが、「世界一」ともいわれたことで、歴史に残る話題のクルマになったともいえるだろう。これも攻めたデザインの功績(?)だ。

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