1949年に登場したポルシェ「356」から始まる数字車名の歴史
世の中には、クルマの名称に数字を使うメーカーが数多く存在する。BMWの1から始まるシリーズもそうだし、アウディのAやQに続く車名の数字もそうだ。プジョーも真ん中に0が付く3桁の数字、もしくは00が付く4桁の数字を車名にしている。
しかし多くの場合、車名の数字はサイズ感を示しており、その数字が大きくなるほど車格は上がる。
ところがポルシェは車名に数字を使いながらも、数字と車格に関係はない。現在のポルシェの2ドア系スポーツカーは、911と718が車名だ。数字だけでは、どんな車格だか想像しにくい。
では、ポルシェの数字は何を由来としているのかといえば、それは開発用のタイプ・ナンバーだ。
ポルシェは、1949年発表の初めての量産モデルである「356」に、開発するときに使ったタイプ・ナンバーを正式名称とした。
これは相当に珍しい行為だ。確かにどの自動車メーカーも新型車を開発するときに、数字と英語を組み合わせたタイプ・ナンバーのような記号を使う。しかし、最終的に製品として世に送り出すときに、改めて新しい名前を与える。それが通常の手続きである。
実際に近年のポルシェも他メーカーと同じように、「タイカン」、「カイエン」、「マカン」、「パナメーラ」などの名称を新型車に与えてきた。
ところが創業間もないころのポルシェは違っていたのだ。そんなポルシェ初のモデルである356はヒットモデルとなる。
これで開発用のタイプ・ナンバーを使うという流れができたのだろう。356に続いて、1953年に発表されたミッドシップ2座スポーツである「550スパイダー」も、開発のタイプ・ナンバーが名称の由来としていた。さらに、356の後継モデルとして1963年に発表された「911」も同様の由来となる名称が与えられたのだ。
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