ボルボはなぜ今後登場する全モデルを電動化する? やむにやまれぬ欧州の事情

2020年8月25日、ボルボのPHEV「XC40リチャージ プラグインハイブリッドT5」が日本に上陸した。このようにボルボは、2019年以降に発売するすべてのモデルに電気モーターを搭載すると発表している。なぜボルボは電動化戦略に突き進んでいくのだろうか。

各メーカーが電動化を進めていっても内燃機関が消えることはない

 クルマを電動化することにより、走行中のCO2の排出は小さくなる。BEV(バッテリーEV)の場合はCO2排出ゼロになるから、平均値を引き下げるためには非常に有効だ。

2020年8月25日に日本に上陸したボルボ「XC40リチャージ プラグインハイブリッド T5インスクリプション」

 PHVの場合は、大まかにいうと、外部から充電したバッテリーで走行する距離をCO2排出ゼロで走れるという計算だから、CO2排出量は一気に35-50g/km程度に抑え込める。平均値を落とすために、PHVはこれからもどんどん増えるだろう。MHVの場合にはエンジンを頻繁に止めることで燃料を使わない走りができ、CO2の排出も下げられる。

 こうしてEV、PHV、MHVだけになれば、メーカー内での平均CO2排出量が95g/km以下に抑えられる可能性が高くなり、高い罰金を払わなくても済むわけだ。

 CO2排出量が抑えられ、燃費も良くなるのはいいが、電動化をおこなうには必ず高価なリチウムイオンバッテリーが必要になるから、イニシャルコストが高くなる。それはユーザーにとって大きな負担になる。

 他のメーカーもそのあたりのバランスをとりながら、徐々に電動化を進めていくというのが実情だろう。

 テスラのようにBEVしかないメーカーは、CO2の排出権をほかのメーカーに売ることもできるから、罰金よりも安ければ買うメーカーも出てくるだろう。

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 将来は、ボルボのようにすべてのクルマが電動化される可能性はあるが、電動化を進めていってもICE(内燃機関)がなくなることはないと筆者は考えている。

 もしクルマが充電する電気を火力発電所で発電したとすると、いまクルマに搭載しているエンジンのほうが排出ガスはクリーンだから、直接発電機(エンジン)をクルマに搭載して発電しながら走ったほうがトータルでは環境に良い。この考え方で登場したのが、モーターで駆動する日産のe-POWERになる。

 もし、すべてのクルマがEVになったとしよう。たとえば60kWhのバッテリーに毎晩全車が充電しようとしたら、現状ではかならず電力は足りなくなる。

 あなたの家庭の1か月の使用電気量はどれくらいだろうか。おそらく一軒で400kWhとか500kWhくらい使っているはずだ。

 たとえば日産「リーフe+」を充電するとしよう。クルマ1台充電するために必要な62kWhという電気量は、家庭での3日から4日分の電気量にあたる。

 この電気量を、すべての家庭で充電しようとしたら、それこそ原子力発電所を多く建設しなくてはならなくなるだろう。いろいろな面でそれは無理だ。

 簡単に電動化といっても、一気にEVに行くのではなく、PHV、MHVも使いながら徐々に進めていくしかないのが現状だ。

 ボルボのEV、PHV、MHVという3種類での電動化への舵取りは、そのあたりも考慮した戦略なのだ。

 とはいっても、欧州の排出ガス規制はあくまでも法律で決められたものだから、将来的にはもっと厳しくなるのか、逆に緩くなるのか。それにより自動車メーカー各社の動向が変わってくるかもしれない。

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