今さら聞けない、「クラシックカー」と「ヴィンテージカー」の違いとは?

最近よく目にする「クラシックカー」や「ヴィンテージカー」という古いクルマを指す言葉。本来の意味も知らずに古いクルマすべてをそう呼んでいる人もいるだろう。しかし、本来は厳格な年代による区別が存在する。そこでVAGUEがわかりやすくレクチャーしよう。

フェラーリとポルシェには「ヴィンテージカー」は存在しない!

 ここ数年、日本のWEBメディアでも古いクルマが取り上げられる機会が増えているようだが、筆者が気になっているのは「ヴィンテージ」という言葉の乱用である。

 クラシックなクルマのすべてが、ヴィンテージカーと呼ばれていることには違和感を禁じ得ない。

「クラシックカー」に「ヴィンテージカー」。たしかに、古いクルマを指して呼ぶ言葉が乱立するあまり、非常に分かり難くなっているのは間違いのないところである。

 しかし、自由勝手に呼ばれている感のあるこれらの用語についても、実は厳密な年代別基準が存在するのだ。

トヨタ「2000GT」のことは、何と呼ぶ? クラシックカー? ヴィンテージカー? それとも旧車?

 現在のクラシックカー界において、事実上のグローバルスタンダードとなっているのが、イギリスに端を発する区分け法である。

 1934年に創立され、いまなお世界でもっとも権威の高い自動車クラブと称されている「ヴィンテージ・スポーツカー・クラブ(VSCC)」が、その創立に際してもっとも豊穣なスポーツカーの製作された時期を1919年−1930年までと規定し、ワインの年代を示す用語から「ヴィンテージ」と名づけたのが発端とされている。

 ただし「ヴィンテージ」の称号は、年代の合致するすべてのクルマに与えられるのではなく、あくまでも優れたスポーツカーが対象。ワインと同じく、かなり厳しい審査がおこなわれていたという。

 またVSCCでは、ヴィンテージ期以降の1930年代に製作された秀逸なスポーツモデルを「ポストヴィンテージ・サラブレッド」と規定。

 さらに、ダイムラーとベンツがガソリン自動車を発明した1886年から1904年頃までに製作されたパイオニア期のモデルは「ヴェテラン」。そして、1905年ごろから第一次大戦の勃発する1914年ごろまでに製作されたクルマについては、当時の英国がエドワード7世国王(在位1901−1910年)の治世時代にあったことから「エドワーディアン」と呼ばれることになったとされる。

 これらは、もともとひとつのクラブ内の規定にすぎなかったのだが、この年代基準は英国内のみならず、現在ではヨーロッパ全体、さらには世界的な指標となるに至った。

 一方、第二次大戦後のモデルについて同クラブの規定は為されていないが、やはり英国を中心とするヨーロッパのエンスージアストの間で、半ば自然発生的に「ポストウォー・クラシック(1946−1959年)」、そして「モダン・クラシック(1960−1970年代)」と称されることになったという。

 したがってあくまで厳格にいうなら、第二次世界大戦後にメーカーが創業したポルシェやフェラーリなどについては、いずれも「ヴィンテージ」の称号は相応しくないのだ。

 とはいえ、欧州のみならずアメリカや日本でも魅力的なクルマが続々と現われた1960年代を、「’60sヴィンテージ」とする新基準も誕生するなど、その区分けは時代の流れに応じて変化しているのも事実である。

 さらに独自の自動車文化を形成しているアメリカにおいては、1930年以前のクルマを「アンティークカー」、1931−1960年を「クラシックカー」、そして1961年以後を「プロダクションカー」とする独自の年代基準も長らく信頼されてきており、これもクラシックカーの呼び方に混乱をもたらす要因となっている。

 このように、かなり厄介なクラシックカーの呼称だが、少なくとも長らく世界標準となってきた英国式だけでも覚えておくのも、これから自動車趣味をより深く嗜んでゆくためには決して悪いことではあるまい。

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