【大人の極旅・後編】旅館陣屋で、スカイラインのプロパイロット2.0について考える

10年足らずで、経営がV字回復した陣屋は、マスコミなどでも注目の旅館だ。その秘訣を知るために、実際に宿泊してみることに。旅のお供は最新の日産スカイラインである。

いま求められているのは、極上の空間と時間

 横浜を出立して、御殿場から箱根・仙石原を経由して小田原の江之浦測候所をスカイラインで巡る旅のゴールは、鶴巻温泉の旅館 陣屋。
 
 宿に到着すると、丸に四菱の家紋に「陣屋」の文字が描かれた提灯と、玄関までのアプローチの両サイドに並んだ照明が優しく迎えてくれた。

駅の近くとは思えない、静寂に包まれている陣屋

 雨に濡れた砂利が歩みに合わせて軋む音と、日本庭園の噴水の音だけが静寂の中で聞こえてくる。車寄せのある旅館と違い、クルマを降りて玄関まで歩かねばならない旅館には風情がある。なぜなら、それは茶室でいうところの「露地」であり、日常から非日常へと切り替わる空間であるからだ。その点、陣屋の玄関までのアプローチは、期待感を持たせてくれるに十分。陣屋にチェックインするなら、暗くなってからがオススメだ。

●上質なものを求める人は必ず存在する

庭園の広さは1万坪。客室からでも四季の移ろいを感じることができる

 創業102年となる陣屋は、鶴巻温泉駅から徒歩4分という立地に位置している。しかし、1万坪の敷地には森や日本庭園があり、「駅チカ」であることを忘れさせる静寂な空間に包まれている。
 
 明治天皇が宿泊したという「松風の間」は、将棋や囲碁の名棋士が王座を争う対局の場として現在も使用されており、これまでにおこなわれたタイトル戦は300以上にもなる。
 
 こうした歴史ある旅館でありながら、2009年に現在の女将夫婦が急遽受け継ぐことになったときには、リーマンショックの影響もあり、旅館の経営は芳しくなかったそうだ。鶴巻温泉に17軒あった旅館は3軒にまで減っていたという。
 
 それが、この10年ほどで売上が倍以上までに伸びたのには理由がある。IT活用による改革がその最大の理由であるが、注目すべきは客単価が上がったことだ。低価格競争に陥っていた2009年の9800円から、現在では5万円にまで客単価が上昇しているのである。
 
 陣屋は経営方針を、客室の稼働率は下がったとしても、高付加価値をつけることで客単価を上げる方策へと大きく舵を切ったのである。そしてここでいう高付加価値とは、料理の質を上げることはもちろん、おもてなしのサービスであることはいうまでもないだろう。
 
 気がつけば陣屋は、上質の時間を求める人の、通好みの旅館となった。客単価が上がったにもかかわらず、リピーターが多いことも、客室だけでなく料理やサービスも質が高いことを物語っている。

日常から非日常へ。喧騒から離れることは、現代人にとって、何よりの癒やしとなる
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