たったの500万円!! 「ジャミロクワイ」ジェイ・ケイの愛車の気になる落札価格は?

クラシックカーのコレクターとしても名高い「ジャミロクワイ」のジェイ・ケイ氏の愛車がオークションにかけられることになった。センス良いジェイ・ケイ氏の元愛車は、オークションの落札価格に影響するのだろうか。

意外と楽しい! オンライン限定オークション

 世界を震撼させている新型コロナ禍の真っただなかにあって、海外の一流オークションハウスの主催によるクラシックカー/コレクターズカーを対象としたオンライン限定オークションが、予想外の活況を呈しているようだ。

 もともとはウィルス感染の可能性を回避するため、通常の対面型オークションが開けなくなってしまったことに対する苦肉の策だったのだろうが、実際に欧米各国で競売が始まってみると、意外にも白熱。また、インターネットを介しながらも競売の進捗状況がリアルタイムで見られることから、興味本位の観覧者もかなりの数にのぼるという。

 かくいう筆者も、オンラインオークション観覧に、すっかりハマってしまっているひとり。そして、先般VAGUEでいくつかのレビューをお届けした、英国「シルバーストーン・オークション」社のWEBカタログをチェックしている際に、世界的アーティストにして自動車コレクターでもあるジェイ・ケイ氏のコレクションが、同社のオークションにて放出されることに興味を抱いてしまったのだ。

ジャミロクワイのジェイ・ケイの愛車だっただけに、どれもない外装ともにコンディション良好。カーエンスージアストのジェイ・ケイの愛車についた落札価格とは?(C)SILVERSTONE AUCTIONS

 いまさら説明の必要もないかもしれないが、ジェイ・ケイ氏は英国「アシッドジャズ」レーベルから輩出されたスーパースターユニット「ジャミロクワイ」を主宰するアーティスト。

 くわえて、1996年に全世界でメガヒットを博したCDアルバム「Travelling Without Movin(トラベリング・ウィズアウト・ムービング:ジャミロクワイと旅に出よう)」のジャケットに、フェラーリのエンブレムをパロディ化したデザインを、わざわざフェラーリ本社から公認をとりつけて採用してしまうほどに、熱心なフェラリスタとしても知られている。

 また、彼はクラシックカー・コレクターとしても超一流で、フェラーリのほかにもマセラティやポルシェ、アストンマーティン、フォード・マスタングなどの素晴らしいクラシックモデルを数多く蒐集しているという。

 今回紹介するのは、ジェイ・ケイ・コレクションのなかでもかなりの数を占めるというBMWの2台。1台目はシルバーストーン・オークション社が2020年5月に開催した「THE MAY LIVE ONLINE AUCTION 2020」に出品されたBMW「3.0CSL」である。

●1972年型BMW 3.0 CSL

ジェイ・ケイが所有していた1972年型BMW 3.0 CSL。希望落札価格には届かなかった(C)SILVERSTONE AUCTIONS

 1971年に登場した3.0CSLは、同時代に生産された美しき4座クーペ「3.0CS」をベースとして、ツーリングカーレース用のFIAホモロゲートのために開発されたエボリューションモデル。

 ドイツ語で軽いを意味する「Leicht」の頭文字「L」を添えた車名が示すように、左右ドアをアルミ化、リアウインドウを樹脂製に置き換え、パワーウィンドウも廃することで3.0CSの1400kgから約200kgの減量に成功している。

 エンジンは、当初3.0CSと共用のキャブレターつき2985ccの180psだったが、1972年の中期型ではインジェクション化されるとともに3003ccに拡大。さらに1973年の後期型では3153cc・206psにパワーアップされた。

 この出品車両は、イギリス市場向けに500台が製作されたとされる右ハンドル車だった。1972年型ということで中期型と推定されるのだが、派手なエアロパーツ満載の通称「バットモービル」ではなく、当時の英国マーケットで選択可能だった「シティパッケージ」仕様。当時のロードユーズを見越して前後のバンパーなども装備された、好ましい雰囲気の1台といえるだろう

 13万5000ポンド~15万5000ポンド、日本円換算で約1814万円~2082万円というエスティメート(推定落札価格)が設定されていたものの、オークションハウス側とジェイ・ケイ氏との間で合意していた最低落札には届かなかったよう。「Not Sold(流札)」に終わってしまったのは、残念なところである。

●1983年型BMWアルピナB9-3.5

1983年型BMWアルピナB9-3.5は、約517万円で落札された(C)SILVERSTONE AUCTIONS

 ジェイ・ケイ氏のコレクションからオークションに出品された2台目のBMWは、こちらも「THE MAY LIVE ONLINE AUCTION 2020」に登場した「BMWアルピナB9-3.5」だ。1978年からコンプリートカー生産に乗り出したアルピナの、初期のヒット作品である。

 1982年にリリースされたB9-3.5は、BMWのE28系5シリーズがベース。自然吸気のメカニカルチューンでは長い経験を持つアルピナにとっては「得意中の得意」ともいうべき定番のチューンを施したモデルであった。

 その心臓部は「ビッグシックス」と呼ばれた、直列6気筒SOHCエンジン。排気量は3430ccで、独マーレ社製の鍛造ピストンなどの専用パーツをふんだんに使用し、ボッシュLジェトロニック燃料噴射装置にも特別な調律を施した結果、最高出力はベースとなる「BMW M535i」の211ps(本国仕様データ)から34psアップとなる245psに達したといわれている。

 また、低くセットしたサスペンションや、ワイルドな雰囲気を漂わせるアピアランスに対して、実際の走りはスポーティかつ上質。まだBMWから「M5」が生まれてなかった時代に、現在にも至る「BMWアルピナの方程式」を提示したモデルのひとつとして、今なお世界中の愛好家から熱愛されているスポーツリムジーネなのだ。

 500台の限定生産だったB9-3.5のうち、右ハンドル仕様は64台。さらに5速マニュアル仕様は、そのうちの18台に過ぎなかったとのこと。つまりは、かなり希少なモデルの1台であるこのBMWアルピナB9-3.5は、2万5000~3万5000ポンドに設定されたエスティメートを上回る、3万8500ポンド(約517万円)という価格で無事落札となった。

 でも、BMWアルピナB9-3.5というクルマ自体のマーケット相場が、近年じりじりと上がってきているという市況に加えて、音楽界のレジェンドたるジェイ・ケイが9年間も保有したというヒストリーも合わせれば、この先さらなる高騰もあり得るのでは? とも感じられてしまう1台であった。

Gallery:【画像】ジェイ・ケイの愛車だったクルマの極上コンディションを見る(25枚)