創始者の名前がついた「エンツォ フェラーリ」は、永遠だ!【エンツォ物語:02】

日本人デザイナーによる唯一のフェラーリのスペチアーレ「エンツォ フェラーリ」。この伝説的なフェラーリスペチアーレにまつわるストーリーを3回に分けてお届けしよう。第2回は、エンツォの生い立ちとメカニズムの物語だ。

「F50」オーナーからのリアルな声を反映させた「エンツォ フェラーリ」

 スーパースポーツとしての「エンツォ フェラーリ(以下エンツォ)」の魅力は、もちろん現在においても不変だが、誕生が2002年であることを考えると、改めて驚きを隠し得ない。

 スーパースポーツの世界における時間の流れは、一般的な自動車のそれと比較すると格段に速く、そして残酷である。その轟々たる流れのなかでエンツォはなぜその輝きを失わないのか。エンツォというスーパースポーツの姿を再検証しながら、その理由を探ってみよう。

2002年に誕生したにもかかわらず、いまもその輝きを失っていない「エンツォ フェラーリ」

 前作「F50」で、ノーメックス・ハニカムをサンドイッチした、CFRP製のモノコックタブを基本構造体に採用したフェラーリにとって、その後継車たるエンツォでもそれを採用することは当然の選択であった。

 ただしCFRPパネルに挟み込まれるハニカムは、さらに強度面でのアドバンテージが得られるアルミニウムに変更されている。その前方にサブフレームを組み合わせているのもF50と同様の仕組みだが、エンツォではさらにリアにもサブフレームが採用されることになった。

 それはF1マシンと同様、モノコックタブにエンジンをリジッドマウントし、エンジン自体をも構造体として機能させるという、きわめてストイックなエンジニアリングに対して、F50のカスタマーからネガティブな評価が下されたことに対しての対応策でもあった。

 実際にF50をドライブした経験をお持ちの方であれば、走行中にリアミッドのV型12気筒エンジンからの脈動が、タブ全体を激しく振動させるのを記憶されているかと思う。

 F50には着脱式のコンパクトなルーフが備えられているが、それによってキャビンのオープン化を可能としたことさえ、この振動対策のひとつではないかとさえ考えたくなるくらいだ。

 この経験からフェラーリは、エンツォにサブフレームを与え、パワーユニット一式を、マウントを介してそれに搭載する手法を選択した。ボディはクローズドタイプとなり、モノコックタブにはフロントウインドウフレームと一体成型されるルーフセクションが組み合わされた。

 左右のドアは1970年代に製作されたコンペティションモデルの「512M」をもイメージさせるスイングトップ式。フロントノーズに向けてのスタイルが、F1マシンのノーズコーンをモチーフとしたものであることは誰の目にも明らかだろう。

 先行して公開されていた「FX」から、ほとんどディテールを変化させることなく発表されたエンツォのボディは、もちろん軽量なCFRPパネルによって成型されている。

 長いフロントオーバーハングや、そこから前後フェンダーに頂点を設け、前後方向に滑らかな流れを生み出しているウエストライン。あるいは後にフェラーリのさまざまなロードモデルへと継承されることになる円柱型のテールライト等々、エンツォのデザインはフェラーリ、そしてピニンファリーナの作らしく、実に斬新で魅力的なものだった。

 リアエンドには速度可変式のフラップが与えられているが、走行中のダウンフォースのほとんどは、アンダーカウルで形成されるヴェンチュリートンネルによって得る仕組みとなっている。

 興味深いのは、グランドエフェクトカーでは避けることのできない速度とダウンフォース量の一義的な比例関係を、フェラーリはアンダーボディのフロントホイール前方に、可変フラップを装備することで解消していることだ。

 ちなみに200km/h→300km/h→最高速の350km/h時の総ダウンフォース量を比較すると、344㎏→775㎏→558㎏という数字になる。

 さらにグランドエフェクトカーにとって重要なのは、ヴェンチュリートンネル、すなわちアンダーカウルと路面との間のクリアランスを一定に保ち、同時にこのトンネル内に導入したエアを逃がすことなく使い切ることなのだが、フェラーリはそれに対しても万全の策を講じていた。

 プレミアムモデルとしての性格から、そもそも非常にストローク量の短いサスペンションを採用することが可能だったからこそ、最大限の効果を生み出す手法だったともいえるだろう。

Gallery:【画像】いまも新鮮なエンツォ フェラーリの勇姿(11枚)