サヨナラのBMW「i8」を再考する【東海道・旅するi8:01】

ハイブリッド時代のスポーツカーのあり方を示したBMW「i8」が、ついに生産終了となった。そこで、BMW i8が果たした役割とはなんであったのか、2105年にi8で東海道五十三次旧道を旅したときの記憶をたどりながら考察してみよう。第1回は、旅のはじまりである日本橋からお届けする。

どうして旅のパートナーがBMW i8だったのか?

 東海道旧道をクルマで走破するにあたっては、機材を満載でき、悪路でも下回りを擦ることなく走行できるSUVというのも選択にあるだろう。道なき道を切り拓いて走るわけでもないので、ミニバンという選択肢も考えられる。

BMW i8とi3は、その後のカーデザインに多大なる影響を与えた、特に日本車にそのエッセンスを取り入れたものが多い

 しかし、そうしたクルマで快適に東海道を走破するのは面白みに欠けてしまう。どうせなら東海道の旅を非日常の冒険にしてみたい。

 そこで選んだのが、BMW「i8」というわけだ。ちなみにこの旅の記録は、2015年におこなったものの回想録という形でお届けする。

 2015年当時、BMW i8は発売されて間もないということもあり、街角で走っている姿を見かけるのは稀だった。いま見ても新鮮味を失っていないデザインは、近未来感たっぷりのテイストを残している。

 この未来からやってきたようなクルマで、東海道五十三次を駆けぬけるのは、ビジュアル的にもシュールでインパクトがあるではないか。

 SUVのように、路面を気にしないでガンガン走行できるというわけではないが、不便だからこそ、ありふれたただのドライブ旅が冒険に変わるのである。不便は冒険に必要不可欠なスパイスなのだ。

 登山の歴史を考えてみるといい。初登頂がなされた山は、単独行より難しいルート、酸素ボンベなし……と、ハードルを上げていくことで、「初」を達成するものだ。

 いまさら東海道五十三次をクルマで走破するなんて、珍しくもなんともないが、少なくとも発売されたばかりだったBMW i8でならば、「初」走破になることは間違いない。

●極めて静かなスポーツカー

 もうひとつ、BMW i8を選んだ大きな理由がある。それは、プラグインハイブリッドであるという点だ。

 クルマのデザインの派手さや、旅のミスマッチ感、インパクト度合いだけで選ぶなら、フェラーリやランボルギーニでもいいわけだ。しかし、そうしたスーパーカーだと大きな問題がひとつある。

 それは、エンジン始動時の爆音である。それらのイタリアン・スーパーカーはアイドリング時にもけっして静かとはいえない。

 それに比べてBMW i8は、始動時はモーターのみなのでとても静かなのである。

 現在の東海道旧道は、生活道路として使用されている区間がほとんどだ。宿場などでクルマをとめて撮影する際、エンジンサウンドが盛大すぎると、その場の住人に大変な迷惑をかけてしまうことになる。数あるデザインの派手なクルマから、BMW i8を選んだのはこうした理由もあった。

 休日の早朝、愛車でドライブに出かけようと思う人は多い。しかし、住宅街にガレージがあると、夜明け前にエンジンをかけるのは気がひけるものだ(えてしてそうした趣味グルマのエンジンサウンドは大きい)。

 しかし、ご安心あれ。BMW i8なら大丈夫。家族を目覚めさすことなく出発することさえできる。それでいて、高速道路のSAやPAでは、それなりに注目も集めてしまう。

 控えめでいて、ちょっぴり虚栄心も満たされる。BMW i8とは、不思議な立ち位置のスポーツカーなのである……というBMW i8の考察は旅の途中でレポートすることとして、現在の日本橋の頭上には首都高速があってよかった。

 なぜならば記念すべき出立を、雨に濡れずに済んだから。残念なことに、旅のスタートは雨だった。本当は、午前零時には日本橋をスタートしたかったのだが、近くで動画の撮影などをしていたら、ついつい朝になってしまったのである。

 時刻は朝5時を過ぎ、配送車などの数も増えてきたので、さっさと道路元標との記念撮影を済ませ、次なる宿場、品川宿を目指すこととしよう。

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次回は、通勤ラッシュにはまりながら箱根宿までの道程をレポートします

 次回は、日本橋から最初の宿場である品川宿を抜けて、箱根宿までの区間をレポート予定。朝の通勤ラッシュや一方通行などの困難に立ち向かい、東海道最初の難関である箱根峠を越える旅程だ。

Gallery:【画像】日本橋からいよいよBMW i8の旅はスタートします!(9枚)