公道で出会えたら奇跡! レーシングカーをロードカーに仕立てたジャガー「XJR-15」

ル・マン24時間レースで優勝した車両を、そのままロードカーに仕立てたジャガー「XJR-15」は、同時期にジャガーが生み出した「XJ200」とはまったく異なるルートから50台限定でリリースされた。どうしてXJR-15はXJ220と同タイミングで作られたのだろうか。

ル・マン24時間レースなどで活躍した「XJR-9」を公道用に仕立てた!?

 思うに、ウルトラスーパーカー群には2種類の企画がある。(後にレースで活躍したにせよ)純粋にロードゴーイングありきの企画であったか、ハナからサーキット(たとえばワンメイクレース)を意識した企画だったか。

同時期に登場したジャガーXJ220がV6ツインターボを載せたのに対して、XJR-15はV型12気筒エンジンを搭載

 たとえばマクラーレン「F1」がそうであったように、多くは前者である。なぜならレースに参戦することを目的に作ってしまうと、必ずやレギュレーションに縛られ、必ずやレギュレーション変更に振りまわされ、必ずやレギュレーションによって滅ぼされてしまう。

 だから、後者の数は、ポルシェ「GT1」やメルセデス・ベンツ「CLK-GTR」といった具体的な例を挙げるまでもなく、存在したとしても非常に少ないゆえ、公道での印象があまりにも乏しい。レーシングカーであるということと、その数の少なさゆえ、スーパーカーと呼ぶには、あまりにも遠い存在になってしまっていることもまた事実である。

 いつかは「カレラGT」(コイツもかなりレーシーだがレース目的ではない)に乗りたい! という人は沢山いても、いつかはGT1という人にはお目にかかったことがない。そういうことだ。

 そういう意味で、このジャガー「XJR-15」というクルマも、スーパーカー好きには少し遠い存在であるのかもしれない。レースに近いから遠い、というならば、ほぼ同時期に登場し、レースには遠いけれど後にレースにも出場した同じジャガーのスーパーカー「XJ220」は近い存在なのかと問われると答に窮してしまうが、そっちも含めて、ジャガーというブランドそのものがスーパーカー乗りの気持ちから遠い存在、ということなのだろう。

 もっともそのことと、このクルマ(XJ220も合わせて)の魅力とは、まったく次元の違う話である。純レーシングカーの、本物のライドフィールを公道でも味わえるという点で、XJR-15の魅力は今なお、まったく色あせない。

 本当にこのまま一般道を駆け巡っていいの? と思わず叫びたくなるほどに、ほとんど丸ごと、レーシングカーだ。

 スタイリングはこののちマクラーレンF1を担当することになるピーター・スティーブンスの手によるものだが、キャビンスペースをいくらか拡げたとはいえロングテールのXJ220の方がまだ、GTカーに見えるほど、である。

 実際、このクルマの中身はCカーそのものと言ってよかった。「ハナからサーキットを目指した」というよりはむしろ、「サーキットから公道を目指した」と言う方が正しい。

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