ESPやESC、VDAにVSC…さまざまな呼び名がある「横滑り防止装置」の普及はシカのおかげ!?

いまでは日本でも装着が義務化されている横滑り防止装置。一般的にはESCやESPと呼ばれることが多いスタビリティコントロールシステムだが、初めて市販車に装着されたのは1995年。つまり登場からまだ25年しか経っていないという。その歴史を紐解いていこう。

1995年Sクラスクーペに初採用。登場からちょうど四半世紀

 横滑り防止装置とは、クルマがコーナリング中における姿勢を安定させる予防安全の装置だ。

横滑り防止装置の普及は初代Aクラス(W168型)のエルクテストが大きなきっかけとなった

 日本ではESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)と呼ばれることが多いが、メルセデス・ベンツやアウディはESP、トヨタやレクサスはVDIM、日産やスバルはVDC、ホンダはVDA、ポルシェはPSMなどと、各自動車メーカーによって呼称が異なるのが現状だ。

 これらは事故の軽減や事故発生率減少に大きな効果があり、ヨーロッパでは2011年11月に、すべての乗用車と商用車に標準装着することが義務化。日本でも2012年10月以降に発売される車種から義務化されている。軽自動車も新型車については2014年10月、それ以外は2018年以降に義務化された。

 横滑り防止装置は、シートベルトやエアバッグ、ABSなどとならんで、1990年代半ば以降の乗用車でもっとも重要な安全デバイスとしての地位を確立している。

 そんな安全デバイスの歴史を振り返ってみよう。

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 メルセデス・ベンツは2020年5月19日、ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)の登場から25周年のリリースを発表した。

1995年に世界で初めてESPが標準装備されたメルセデス・ベンツ「S600クーペ」(W140型)

 ESPはいまから25年前の1995年5月、メルセデス・ベンツ「S600クーペ」(W140型)に世界で初めて量産車に標準装備された。

 ESPはダイムラー・ベンツ(当時)とボッシュが共同開発したもので、すでに1980年代から研究がおこなわれていたが、当時はそれぞれ別々に開発されていたという。

 両社の先行開発部門は、走行安定性を高めるためのソリューションを模索していたが、1992年に両社は共同開発チームを結成して開発を進め、その研究結果は1994年に「FDR」(ダイナミック・ハンドリング・コントロール)として発表された。

 その後、ESPと名称を変えてS600クーペに初めて標準装備。1995年9月にはV型12気筒[西山1]エンジンを搭載したS600セダンとSL600にも標準装備された。その後はV型8気筒[西山2]エンジン搭載のSクラスセダン・クーペ、SLクラスにもオプションで設定され、1996年1月にはEクラス(W210型)にも設定されていく。

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