ディフェンダーは農民の味方だった! 元祖ランドローバーの誕生秘話物語

2019年に70年近い歴史のなかで初めてとなるフルモデルチェンジを遂げたランドローバー「ディフェンダー」。ディフェンダーがどうしてそれほど長い期間愛され、作り続けられてきたのか、ランドローバーが生まれるきっかけとなったエピソードから紐解いていこう。

農民の強い味方、ランドローバー誕生!

「あらゆる作業に適応する農民の従僕」というコンセプトのもと、開発された4WDトラックだが、政府からの援助を得るには急を要していたため、1947年に初めて製作されたプロトタイプは、米ウィリス社製ジープのシャシとサスペンションを、ほぼそのまま流用することにした。

 80インチのホイールベースも不変だったが、ほどなくジープよりも高剛性で頑強な専用フレームが用意された。

ランドローバー「シリーズIII」

 一方ボディについては、政府の割り当て制限によって鉄鋼が不足していたのだが、戦争終結によって逆に余剰資材となっていたことから安価に入手できたアルミ合金「Birmabright(バーマブライト)」を使用。スタイリングは組立て加工の容易な簡素なものとされた。

 また最初に試作されたプロトタイプでは、英国などの左側走行用の右ハンドルに加えて、左ハンドルを希望する欧米各国への販売を考慮し、ステアリングは横並び3シーターの中央に設置された。

 これはPTO(外部出力装置)を装備し、定置型の動力源としても使えるよう考慮されていたことも併せて、農業用トラクターとしての使用も見越したともいわれている。

 しかし、やはり使い勝手に問題ありと判断されたことから、生産型では一般的な右ハンドル/左ハンドルに改められることになった。

 そして、元来の社名に引っ掛けて「ランドローバー(大地を征服する者)」と名付けられたローバー4WD試作車は、1948年4月30日に開幕するアムステルダム・ショーにて発表されるに至った。

 デビュー当時は、プロトタイプと同様80インチのホイールベースを持つオープンのトラック版のみ。また、最初期のモデルは前輪のフリーホイールハブを生かした簡易型のフルタイム4WDで、4速MT+トランスファーの変速機が組み合わされる。

 パワーユニットは、戦前以来のローバー製セダン「P3-60」用を踏襲した、水冷直列4気筒Fヘッド(OHV吸気/サイドバルブ排気)1595cc。Fヘッドは、同時期の英国製高級車にはしばしば見られたバルブ形式で、ローバーではヘッド周りの小型化や低中速トルクの獲得を期しての採用だったといわれている。

●大地を征服したランドローバー

 ランドローバーは物品購買税の課税対象外に規定されたこともあり、発売早々から大人気。1952年には通算5万台、1954年には10万台を超え、英国内や英連邦各国でも農業や牧羊業の重要な輸送手段となったほか、警察や軍隊などにも正式配備されていく。また、生来の目的であった輸出市場でも、高い評価を獲得することになった。

 その後は、ホイールベースを伸ばしたロング版「107」(のちに「109」から「110」に進化)シリーズを追加する一方、SWB版もさらなる使い勝手の獲得のためホイールベースを延長するなどの改良で「86」から「90」まで進化。

 そしてエンジンも、たび重なる大型化や直列6気筒、V型8気筒が追加されたほかディーゼル版も追加されるなど、シリーズIからシリーズII、IIA、そしてシリーズIIIと暫時進化を遂げてゆく。

 かくして、生来は新型乗用車が開発されるまでの窮余の策だったはずのランドローバーは、結果としてローバーの「ドル箱」に成長。1971年にはローバー社から分離・独立して、「ランドローバー」そのものがブランドとなった。

 そして1990年には「ディフェンダー」の車名が与えられ、正規の生産モデルとしては1948年から生産終了後の2018年に世界限定150台のみ追加製作された「ディフェンダー・ワークスV8」まで合わせれば、なんと70年もの長寿を誇ることになったのである。

Gallery:【画像】大人気「ディフェンダー」の歴代モデルをたっぷり見る(29枚)