100万円台で手に入るポルシェライフ! 初代ボクスターはいまが狙い目!

いつかはポルシェを所有してみたいと思っている人に、いまオススメのユーズド・ポルシェを紹介しよう。ナビゲーターは、プロレーサー、テストライダー・ドライバーの丸山浩氏。実際に丸山氏が日常で使ってみて、本当にオススメできる100万円台から始めるポルシェライフにもってこいのポルシェとは?

初めてのポルシェライフには、初代ボクスターがオススメ!

 初代986型ボクスターは、中古車で選ぶいまもっともオススメのクルマだ。今回紹介するのは、2003年モデルのポルシェ「ボクスター」と、2000年モデルのポルシェ「ボクスターS」。

 2020年4月現在のポルシェ中古車市場では、997型「911」の流通台数減少・相場上昇に伴い、これまであまり人気のなかった涙目タイプの996型911の相場も徐々に上昇中である。

 一方で同時期モデルの986型「ボクスター」/「ボクスターS」は、それほど影響を受けておらず、程度の良い個体を比較的手頃な価格で購入することが可能だ。

 私の狙い目とする中古車相場は、ボクスターで100万円から150万円(新車当時550万円)、ボクスターSで150万円から230万円(同左690万円)あたりのクルマである。

 今回紹介する2003年モデルのボクスターは、ターゲットゾーンの上位に位置する良個体で、価格は170万円。2000年モデルのボクスターSは、走行距離2万km、ホイールは18インチBBSに換装されており、230万円台の個体である。

 なお、100万円以下で入手できる個体も少なくないが、内外装の補修にコストがかかるのは避けられないので注意が必要だ。しかし、じっくり探せば、まだ綺麗に乗られている車両が存在するのも、この986型のいいところだ。

涙目の初代ポルシェ・ボクスターなら、100万円台からポルシェライフをはじめることができる

●ポルシェ・ボクスターとボクスターSとはどんなクルマ?

 ボクスターは1996年に登場。2.5リッター、206psの6気筒ボクサーエンジンをミドシップに搭載したロードスターである。

 2000年にはエンジンの排気量を2.7リッターにアップし、220psにスペックアップした。それと同時に3.2リッター、252psの6速MTで、17インチのホイールをセットしたボクスターSが追加された。

 2003年には大幅なマイナーチェンジが施され、ボクスター/ボクスターS共に最高出力を8ps向上し、2004年に987型へとモデルチェンジしている。

●一般道インプレッション

 2台を一般道で乗り比べたところ、エンジンパワーはSでなくても楽しいことが分かった。ボクスターはエンジンをかける瞬間から、滑らかかつ穏やかなエンジンフィール。一方のボクスターSのエキゾーストノートには迫力があり、レスポンスにもゴリゴリっとしたパワー感はあるものの、一般道を流す分には+26psの恩恵をさほど感じることがなかった。

 一方、高速道路でアクセルを踏み込めば、当然ながらボクスターSのパワーフィールが上をいく。わずか数百回転ではあるものの、より低いエンジン回転数で巡航できるのも6速MTを搭載するボクスターSのいいところだろう。

 ボクスターの5速MTは、シフトチェンジが忙しくないともいえる。元々トルクがあるので、回転の落ち込みを気にせず上のギアを使っていけるからだ。なおシフトフィールもそれぞれのキャラクター同様で、柔らかいボクスターに対してボクスターSはカッチリした印象だ。

 ボディサイズは両車ほぼ同等で、全幅は1780mm。このサイズであれば、日本の狭い道であってもストレスを感じることはない。両車を乗り比べて気がついたのがシートポジションの違いだ。ボクスターSの方が若干低く、スポーティなドライビングポジションに設定されている。

●サーキットインプレッション

 筑波サーキット・コース1000をそれぞれ5周ほど走行して両車を比べてみよう。今回のサーキット走行の目的は限界アタックではなく、クローズドコースでしっかりアクセル/ブレーキペダルを踏み、エンジン特性・制動力・ハンドリングといったパフォーマンスをチェックすることである。ちなみに車重はどちらも1340kgだ。

 ボクスターは程よくロールし、マシンを操っている感がある。装着しているタイヤはさほどグリップ力の高いものではないが、この足回りには丁度良い組み合わせ。ブレーキタッチも柔らかく、効きも強過ぎないので扱いやすい。

 対するボクスターSは、ロール感が少なく、ブレーキも制動力の立ち上がりが早くカチッとしたフィーリング。エンジンは当然のように上を回せば速く、特に5000rpm以上での伸びがある。

 ベストタイムはボクスターが46秒3、ボクスターSで45秒2。まったくのイコールコンディションではないにしろ、ハンドリングの素性はほぼ同等。約1秒の差は、主にエンジンパワーによるものだろう。

 ひとつ補足したいのが、ボクスターSにはオプションのPSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)、いわゆる安全運転支援システムが搭載されている点だ。センターパネルのスイッチでオフにすればリアを流すくらいは出来るが、コーナー進入速度が一定の領域を超えるとシステムが立ち上がり、車側で余分に制動をかけ始めてしまう。こうなると、ツッコミ重視ではないドライビングを組み立てる必要が出てくる。

●この時代のポルシェ・ボクスターの◯と×

 PSM制御をはじめ、この年式のポルシェ・ボクスターには、現在のボクスターと比べると発展途上と感じられるところもある。例えば、ルーフは自動開閉であるものの、サイドブレーキを引いた状態でなければ作動しない。リアウインドウも2003年のマイナーチェンジ以前はビニール製だ。

 その一方で優れているのは、重心の低いフラット6ボクサーエンジンを搭載することで、ポルシェらしい走りを味わいながらも、前後に広いラゲッジスペースを確保している点だ。これほどの積載能力をもつオープンタイプのスポーツカーを、ローコストで手に入れられるのは素晴らしいことだ。

●中古車で手に入れる際のポイント

 986型ボクスターは新車から10年以上経過している。走行距離が少ないのはもちろん、大切に扱われてきた個体を選びたいところだ。

 ヘッドライトのレンズや幌、2003年モデル以前ならリアウインドウの状態も良ければ室内保管が期待できる。

 レンズは磨けばある程度輝きを取り戻すが、そのほかはコストを考えると補修するべきか悩みどころだ。将来的に手放すのであればなおさらコストは掛けなくないだろう。

 もちろん、エンジンをはじめとした機関系さえしっかりしていて、内外装の状態がよくない価格の安い個体を手に入れ、目的にあったカスタムに仕上げていく場合もあるだろうが、まずはこれらの状態が芳しくない個体は避けるのが無難だろう。

 ほかにウォーターポンプやエアコンクラッチのベアリング類も要チェックだ。

いま、ユーズドポルシェでポルシェライフを気軽に始めるのなら、「S」ではない素のボクスターでも十分に楽しめる

 ボクスターを選ぶか、それともボクスターSを選ぶか。結論として、いま中古車で楽しむのなら、パフォーマンスとしては無印でも十分である。

 予算が許す場合、あるいはサーキット走行を視野に入れるならばボクスターSもおすすめだ。いずれにしても、お手頃価格でポルシェらしいフラットシックスを堪能できることに変わりはない。この機会に、ミドシップ2シーターオープンのスポーツハンドリングを楽しんでみてはいかがだろう。

Gallery:【写真】初代ポルシェ・ボクスターとボクスターSを見比べる!(37枚)