なぜ国内はレクサスだけ? 日産、ホンダの高級ブランドが日本導入しない理由

国内販売の戦略面でもレクサスとは違いが

いまでは日産の国内販売の屋台骨ともいえる軽自動車の「デイズ ハイウェイスター」

 メーカーが考える国内市場の重要度の違いも、要因として挙げられます。2018年に日産が世界で製造したクルマのうち、国内で販売された台数は11%にとどまります。三菱が製造した軽自動車を除くとわずか8%です。

 ホンダは14%と少し高いですが、トヨタの18%には達しません。つまりトヨタは国内販売比率が高く、メルセデスベンツなど輸入ブランドに対抗する目的もあり、レクサスを日本でも開業したのです。

 いい換えると、日産とホンダは海外に重点を置いた戦略を取っているといえます。そのため、日産の場合は国内で販売されるクルマの設計が全般的に古く、売れ筋は「ノート」や「セレナ」、そして軽自動車「デイズ」「デイズルークス」に絞られます。いまでは国内で販売される日産車の30%以上が軽自動車になりました。

 ホンダも軽自動車の「N-BOX」が絶好調で、この1車種だけで国内で売られるホンダ車の30%以上を占めます。軽自動車全体で見ると、ホンダの国内販売の約50%に達します。

 以上のように、日産とホンダはトヨタに比べて国内市場の重要度が低く、国内の売れ筋モデルも海外で扱わない軽自動車です。この状態では、インフィニティやアキュラを日本で開業する戦略は生まれないでしょう。

 またインフィニティの場合、「Q50」は「スカイライン」、「Q70」は「フーガ」として、すでに国内でも売られています。コンパクトSUVの「QX30」、かつて日本で売られていた「スカイラインクロスオーバー」の後継となる「QX50」を加えれば、インフィニティを設ける必要はありません。

 アキュラも「RLX」は「レジェンド」として国内でも売られ、TLXは「アコード」とキャラクターが重複します。コンパクトセダンの「ILX」は市場性があるかも知れませんが、日本国内で独立したブランドとして立ち上げるにはアキュラのラインナップは弱いです。レクサスは、この点でも10車種以上をそろえているので、ブランドとして成立させやすく、日本でも開業しました。

 このようにプレミアムブランドの扱い方を見ても、トヨタと日産・ホンダの販売規模の違いと、国内市場に対する本気度の差が表われています。

【了】

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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4件のコメント

  1. 軽自動車のせいなのか。
    レクサスで軽自動車はいつ発売されるか。

  2. 雨降り機能しないスマアシを衝突安全として売ってるぼったくりの無能なダイハツにレクサスのクオリティーは造れないです

  3. トヨタの販売店はダイハツの販売を侵食しないし、ダイハツは一生懸命に軽を作り、売っているので、あまり意味のないコメントだなあ。ダイハツはダイハツの品質で良いのです。

  4. 国内の重要度をパーセンテージで書いているけど、本来台数を書いてサブとしてパーセンテージとしないと、差が明確に響かないと思うけど。海外はいい勝負だったりすることもあるし。

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