「SUBARU BRZ」の戦いに注目!? ライバル「GR86」不在でも進化は続く! 最終戦に繋げる岡山はどうだった?
BRZ CNF コンセプトの単独レースだが…注目度は高い! 裏側で何があった?
2023年10月21日・22日に「岡山国際サーキット」で開催されたスーパー耐久シリーズ 第6戦」。
最終戦・富士に向けた戦いとなる中で61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」はどのような戦いを魅せたのでしょうか。
前回のもてぎから約1か月ちょっと、今回の第6戦は岡山国際サーキットで行なわれる3時間耐久です。
グリッド数の関係でクラスが2つ(Gr.1/Gr.2)に分けられ、1日に決勝が2回行なわれます。
今回はST-Qの規定に伴い28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」(以下、GR86 CNF コンセプト)は不参加。
そのため岡山は、61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」(以下、BRZ CNF コンセプト)は単独レースとなります。
なお前々回のオートポリスではGR86 CNF コンセプトの単独レースとなり、今回とは逆の展開です。
そんな中、Team SDA Engineeringの本井雅人監督に今回のレースの目的・目標を聞きました。
「28号車がいないので『己との戦い』になりますが、前回ST-Qクラスを戦う55号車(MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept)に負けていますので。
更にST-4クラスのGR86との戦いもあるので、気は抜けません」
今回の、BRZ CNF コンセプトは1か月の間にアップデートが行なわれています。変更・改良点は下記です。
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1・ブレーキABS制御変更
2・クラッチマスターシリンダーフルードキャビテーション対策
3・アイサイトソフトウェア修正
4・エンジン制御「NA版アンチラグ」
5・ショックアブソーバー調整段数細分化
6・空力操安改善
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このアップデートについて本井監督は次のように話しています。
「前回28号車に負けていた部分はズバリ “性能”なので、確実に仕上げてきました。
ABSはより効く方向にセットアップ、旋回初期でターンインしやすい制御も取り入れています。
加えて、パワートレインには『NA版アンチラグ』をトライ。
具体的にはコーナー途中でスロットルを開けながら点火時期をリタードさせることにより、アクセルをパーシャルから踏み込んだ時の応答性を高めています。
効果はテキメンなのは専有走行で確認できたものの、実戦投入には煮詰めが必要な事も解ったので本戦は使いません。
更にクラッチマスターシリンダーフルードキャビテーション対策は原因が解りましたので対策品を投入しています」
実はこれらに加えて、「VVT新制御」も採用されていますが、これはBRZ CNFコンセプトのみならず、他のST-4クラスのGR86にも水平展開されており、これについて本井監督は次のように話してくれました。
「旧型からの課題『VVTの学習がキルスイッチで切るとリセットされてしまう』という問題がありましたが、その対策品をST-4クラスに水平展開。
実は以前からトラブルシュートを含めた専任のメンバーが毎戦2、3人随行しています。
最初はコテンパンに叱られていましたが、やっていくうちにモノを通じて信頼関係が構築され始めています。
特にECU関係は中身まで解っているメンバーが来ているので、トラブルシュートのみならず、『もう少し乗りやすい仕様』なども提供しています。
我々はS耐の場をお借りしている立場なので、彼らの困り事を解決するのはメーカーの役目だと認識しています。実はレースウィーク以外も出かけて直す事もあります」
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モータースポーツの場に量産車のエンジニアが出向きリアルな御用聞きを行なう。
最近はGRが積極的に行なっていますが、スバルも同じでした。つまり、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」はトヨタだけではないのです。
そんな中、筆者(山本シンヤ)が取材でパドックを回っていると、GR86 CNFコンセプトの開発責任者・藤原裕也氏の姿があり、前回のもてぎで話していた「岡山は視察に行きます」という言葉通り現地に来ていたようです。そんな藤原氏は次のように話してくれました。
「いつもは自分のチームの事でいっぱいいっぱいなので、今回は61号車はもちろん86号車(TOM’S SPIRIT GR86)のレース運びをチェックしたいと思っています。
スバルさんには『ピット内に藤原さんの席も用意してあります』と言われましたが、さすがにアレなので影からコッソリと拝見させてもらいます」