S耐「菅生」はドラマがあった!? レースは「人の繋がり」で走れる! マシンは「CN燃料」が進化! GR86&BRZは何が変わった?
GR86 CNFコンセプト/BRZ CNFコンセプトは前戦から何が進化した?
では、各々マシンの進化はどうでしょうか。
まずGR86 CNFコンセプトですが、見た目でわかるのはリアウイングです。
従来は86GRMN純正を流用していましたが、今回は3D形状のプロトタイプが採用されています。
開発責任者の藤原裕也氏は次のように語ってくれました。
「従来品よりもダウンフォースがアップしています。
リアが安定したことでセットアップの幅も広がっています。ちなみに機能だけでなくデザインにもこだわっているのもポイントです。
これその物が市販化するわけではありませんが、そのあたりも意識しています」
また、リアスタビライザーをより細かく設定できるような仕組みに変更。
エキゾーストもより排圧の低い取り回しに変更など、細部のブラッシュアップの抜かりなしです。
ちなみに新CN燃料に対するエンジン制御系のアップデートはというと、「まずは現状を知る」ということで変更は行なっていないそうです。
続いて、BRZ CNFコンセプトですが、見た目の変更はほとんどありません。
しかし、目に見えない部分では様々な変化があります。
エンジンは最高回転数を7600rpmから7900rpmに引き上げることで約10psの出力向上。
トランスミッションは全開シフト制御(変速時間短縮)/ニュートラル位置の明確化/デフ冷却強化。
ABS制御適正化、サスペンションアーム類適正化(アンチダイブジオメトリ強化)など、細かい部分が多岐に渡りアップデートされています。
ちなみに余談ですがこれまでリアバンパー左側下のみだった「くるまのニュース」ステッカーが、今回から右側下にも(本井雅人監督自ら貼り付け)。これでシンメトリーになっています。
そんなアップデートがあった2台ですが、今回の菅生では戦いの前に大きなドラマがありました。
それは、7月7日(金)午前中のフリープラクティスでBRZ CNFコンセプトをドライブする廣田光一選手がクラッシュ。
廣田選手の体は無事ですがマシンはフロント部分を大きく損傷。通常のチームなら「今回はリタイヤ」だと思いますが、スバルはあきらめませんでした。
まず担当者は即座に群馬・栃木に戻って修復に必要なボディパーツをピックアップ(生産現場の協力も)。
更にマシンは86号車「TOM’S SPIRIT 」の三塚監督の紹介で「伝説の板金屋」が現場に来て作業をスタートします。
その横では廣田選手の体を心配したルーキーレーシングのモリゾウ選手が自チームのスポーツトレーナーを派遣しケアを行ないます。
更に溶接機の電力が自前の発電機では足りないと分かるとスポーツランド菅生がオーロラビジョン用の高出力発電機を貸してくれたそうです。
このようにチーム内だけでなくチーム外の連携により、何とマシンは同日の深夜に完全修復されます。
本井監督は「正直言うと、土曜日の予選も走れるかどうかという状況でしたが、様々な『人の繋がり』で復活できました。本当に感謝しかありません」と語ってくれました。