2023年はナニが変わった? 進化し続ける「GR86/SUBARU BRZ」の2台… スーパー耐久シリーズ開幕前の現状とは
GR86に対して、SUBARU BRZはどう進化したのか?
続いてSUBARU BRZですが、見た目をチェックした所、フロントバンパーはカラーリングが施されていない暫定仕様(フロントスポイラーのデザインが異なる)が装着されていますが、それ以外の部分は昨年から大きな変更はありません。GR86と同じように熟成方向の進化なのでしょうか。
Team SDA Engineeringの監督となる本井雅人氏は、2023年シリーズを目前とした現状について語ってくれました。
―― マシンに大きな変更がないようですが、どのような進化が行なわれていますか。
本井:どちらかと言うとセットアップの部分が大きいですね。
2022年のマシンはプロと社員ドライバーのタイム差が6%から7%もありました。
過去にSDA(スバルドライビングアカデミー)での訓練結果を見るとプロが1番早いのは変わりませんが、タイム差は1%から1.5%だったため、「これはクルマが乗り辛いに違いない」と考えました。
―― スバルは「走り極めれば安全になる」と言っていますが、実はそうではなかったのでしょうか。
本井:そうですね。そこで2022年の振り返りを技術的に行ないました。
新車開発用の施設・設備を活用して検証すると、いい所も確認できましたが、もっと良くしなければいけない部分も見えてきました。
―― 具体的にはどのような所ですか。
本井:2022年はとにかくクルマを大きく動かさないように適合をしてきましたが、それを物理の法則に落とし込んでいくと量産車開発では本来やってはいけないゾーンに入り込んでいたのも事実です。
我々が目指すのは量産車へのフィードバックなので、やはりセオリーは外しちゃいけないなと。
―― 2022年は第3戦(菅生)から「速さ」に徹底してこだわっていました。
本井:ただ、2022年のセットアップだとやり切れない所がありましたので、2023年は「適合の幅を増やす」という観点で言うと、ダンパーを伸び側/縮み側を分けて調整できるタイプに変更をしています。
―― 今回のテストでは、2022年に続き社員ドライバーの廣田光一氏に加えて、伊藤和広氏の2名体制になっています。
本井:レギュラードライバーになるかどうかは未定です。
社員ドライバー同士で会話できるとプロとの役割分担もより明確になるはず。
2022年はプロに助けてもらった部分は大きいですが、2023年は「スバルとしてどうしたいのか?」という部分も、より明確にしていきたいですね。
――つまり、量産開発をより明確にすると言うことでしょうか。
本井:そうです。もちろんレースですので「速さ」にはこだわりますが、プロがコンマ1~2秒を削るような適合をするのではなく、社員ドライバーが1~2秒速くなるような適合をしていくつもりです。
それが最後に量産車の更なる「安心と愉しさ」に繋がるはずです。
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今回、2人にインタビューをしてみて、GR/SUBARUは進んできた道は違いますが「2022年レースを通じてアジャイルに開発を行なってきた部分を、一度立ち止まり冷静に分析をしながら次のステップに進む」と言う事が解りました。
そういう意味では2023年のGR86/SUBARU BRZの戦いは、2022年よりも「開発」の意味合いがより強いシーズンになると思っています。
また、どのタイミングで佐藤プレジデントが公言した「新骨格」に変更されるのかも気になる所です。
開幕戦となるスーパー耐久シリーズ2023 鈴鹿は、2023年3月18日・19日に開催されます。