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2人のキーマンが語る! GR86&BRZの2台は「いっしょにいいクルマつくろう!」でどう進化した? S耐2022を振り返る!

Text:山本シンヤ・Photo:和田清志

シーズン中盤で変わった? レースでのクルマづくり

――第3戦(菅生)はGRはスキップ、スバルは方向性が大きく変わりました。お互いここが“転機”になったという印象がありますが、どうでしょうか?

●GR藤原 

 スバルさんと同じで富士24時間でドライバーの信用を失っていました。

 我々も良いと思って投入しても、「全然良くなっていない、乗りにくい」といわれてしまい、正直自分が今何をやっているのか解らなくなってしまいました。

 そんななかで参戦してもクルマ作りは前に進まないと、モリゾウ選手をはじめ、ドライバーは感じていた。我々も現状立ち位置を確認するため、欠場を提案させていただいた、1回休むことにしました。

――スバルは“速さ”を追求したクルマづくりに変わったと思いました。あのとき、本井さんは「一度、自分たちの常識の外を経験してみる、そんな挑戦をした」と語っていました。

●SUBARU本井

 そうですね。鈴鹿の反省に対してやりたい事、もしくはやってはいけないことが山ほど出てきましたが、富士24時間には間に合わない物もたくさんあり、菅生でほぼ全て入れられたという感じです。

 GRさんはいませんでしたが、86号車(トムススピリット)とシッカリ勝負ができ勝てたことで、まだまだ未熟とはいえ「我々がやっている事は間違いっていない」と自信が持てました。

――第4戦(オートポリス)は再び2台の戦いになりました。GR86は途中でリタイアしてしまいましたが、取材している側としては、これまではガチンコ勝負ながら「己との戦い」でしたが、ここから「やっと戦いが始まった」という印象を受けました。

●SUBARU本井

 コースレイアウトや燃費戦略などから「いい勝負ができるのでは?」という感触がありましたが、トヨタさんはリタイア。

 リザルトとしては勝ちなのですが、まったく勝った印象がないですね。

 ただ、プロドライバーの2人が初めて喜んでくれたので、自分たちにとっても笑顔が力になることを感じました。

●GR藤原

 菅生をスキップしてクルマの素性を確認、その立ち位置を明確にして進んでいこうと踏み出したのがオートポリスでした。

 レースとしてはリタイアでしたが、エンジニアがやりたいこととドライバーの感覚が合い始めて、「クルマづくりがようやく始まった」というのが正直な実感です。

 やはりレースでクルマを鍛えるのは甘くないことを痛感しました。

――第5戦(もてぎ)は、筆者が見ているなかで初のガチンコ勝負。結果はGRが勝ちましたが、両チーム共に「涙」がありました。本井さんは間違いなく悔し涙でしたね。

●SUBARU本井

 作戦もマシンについても何一つ反省がないレースでしたが、やり切ったのに負けた。

 会社に入ってから長いですが、一番悔しかった出来事ですね。

 ただ、今だからいえますが、マシンはオートポリスから伸び代がなかったので、「もう少しやっておけば」というのはありますね。

――藤原さんは「肩の荷が降りた」という感じの涙だったと思います。

●GR藤原

 一番嬉しかったのは、現場でクルマを一番見ているエンジニアやメカニックに完走した事を実感してもらえたことです。

 モリゾウさんからも「このクルマに一番必要なのは“結果”だぞ」といわれましたが、それは「勝て!!」ではなく、皆に報いることだと。

 そういう意味では非常にプレッシャーのある戦いでした。

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