スバルが「凄いコト」に挑戦!? 航空機端材の再利用&レースでアイサイト開発! 「死亡交通事故ゼロ」の近道なるか
スバルが目指す「2030年までに死亡交通事故ゼロ」はS耐の技術で近道なるか?
今回の61号車にはもうひとつ大きなトピックがありました。
それはスバルの運転支援システム「アイサイト」が装着されたことです。
量産車のアイサイトをそのまま装着し、画像処理も量産車の技術をほぼそのまま使用しているといいます。
今回はひとまず装着し、一般車よりも高速かつ車両が入り乱れる状況でも「確実に前方の車両をキャッチしている」ということが証明されたそうです。
コーナリングでは前方車両をロストすることもありますが、それは一般道でも交差点や急カーブでロストすることと同じ現象だといいます。
しかし一般道ではあり得ないような車両が入り乱れた状況や、速度差が大きい車両に追い抜かれるような状態でも的確にアイサイトがキャッチし、画像処理していることが実証されたことで、今後はこのデータをどのように活用していくのかを検証していくといいます。
そのなかで、雨などの視界が悪い状況や車両混雑によるコースサイドで振られるイエローやブルーのフラッグを確実にキャッチできるようになれば、フラッグの見落としによるペナルティを阻止することも可能になります。
ドライバーがフラッグを確認することは義務ですが、万が一の見落としを防ぐことも可能になりますし、S耐では「フルコースイエロー(FCY)」の際に50km/h制限となりますが、アイサイトのACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)によるその速度対応やピットレーン通過時の自動運転も可能になるかもしれません。
そのような、ドライバーの負担を軽減する部分で自動化出来るようになれば、ドライバーの心理的負担が減ることに繋がり、よりレースに集中することも可能です。
なお、今回のもてぎでの活用状況についてTeam SDA Engineeringの監督である本井氏は次のように語っています。
「もともとロールバーを装着する時点からアイサイトが付けられるようにスペースを設けていました。今回やっと装着出来ましたが、まずはレースの場面でアイサイトがどこまで認識・検知出来るかを知ることが出来ました。
レースにおけるクルマの動きは、事故に繋がる動きと似ている部分もあり、そのような状況を素早く検知することでアイサイトの検知能力などが進化すると思います。
今回の結果を元に今後どのような活用が出来るかを考えていきたいですが、ドライバーからは『ピット通過時をアイサイトで走ってほしい』といった声も出ており、上手く活かせていければと思います」
今回のスーパー耐久でアイサイトを鍛えるという取り組みは、スバルと共にカーボンニュートラル燃料を用いてスーパー耐久に参戦するGR86を開発したトヨタが掲げる「ドライバーファースト」にも繋がります。
スーパー耐久でのアイサイト活用に関してTOYOTA GAZOO Racingの佐藤プレジデントは次のように語っていました。
「トヨタでは想像がつかないやり方を思いつくスバルに脱帽ですよ。
モータスポーツでアイサイトを鍛えることでそれが今後の予防安全技術に繋がるという、まさにGRが掲げる『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』、さらに両社で掲げる『いっしょにいいクルマつくろう!』という部分に繋がってくると思います」
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量産車で培った技術をレースに持ち込み進化させ、それを量産車にフィードバックができれば、よりアイサイトを含む予防安全技術による「死亡事故ゼロ」への近道になるかもしれません。