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WRC王者がドリフトに再び挑む!? ラリーとドリフトに共通点はある? カッレ・ロバンペラが魅せた走りとは

高橋愼一

カッレ・ロバンペラが2度目の優勝を果たす!? 立ちはだかるのは相手とは

 10月8日(日)、予選を通過した32名によって決勝トーナメントが行われた。今回の最終戦はシリーズチャンピオン争いも熾烈で、チャンピオン圏内の41ポイント差のなかに4名のドライバーがひしめき合う形だ。

 チャンピオンの可能性を残しているのは、第5戦終了時点で1位の小橋正典(A90)、2位の箕輪大也、3位の髙橋和己(BMW-E92)、そして単走優勝を果たした4位のKANTA。

 シリーズポイントリーダーの小橋正典は、予選日前の前日練習で、ショートカットコース上に設置されたコンクリートウォールに激突して大破。

 それを予選前までに突貫で修理しての参戦となった。予選21位とかなり苦しい展開だ。苦しみながらもトップ32を勝ち上がった小橋正典だが、トップ16で対戦した山中真生に2度のワンモアタイム(同点による再戦)の末、敗退。

 これでチャンピオンの権利を失った。ランキング3位の髙橋和己は、グレート8(ベスト8)で同チームの山下広一(BMW-E92)に敗れ、ここでチャンピオン争いから退く。

 ランキング2位の箕輪大也は、ファイナル4(ベスト4)でランキング4位のKANTAと対戦。箕輪大也が勝利すればシリーズチャンピオンが決定、KANTAはこの戦いを制してファイナル(優勝決定戦)で勝てばシリーズチャンピオンを獲得できるという展開。

 しかもグレート8から降り出した雨により、コースコンディションはウエット路面になり、厳しい路面状況下での戦いとなった。この戦いを制したのはKANTA。しかし箕輪大也もここでチャンピオン争いから退いたわけではなく、KANTAがファイナルで敗れればチャンピオンとなる。

 ファイナルでのKANTAの対戦相手はカッレ・ロバンペラだ。

 カッレ・ロバンペラは、追走での決勝トーナメントに入ってからも強さを見せつけ、末永直登、ケングシ、山下広一といったフォーミュラドリフトジャパンのトップランカー相手に強さを見せつけ、ファイナル進出を果たした。

 しかもカッレ・ロバンペラはハードなウエット路面に入ってからも抜群の安定感で走り続けていた。同じ路面を2度走ることはないラリー競技を走るものにとって、路面コンディションの変化にも対応できる能力の高さを示したのだ。

 ファイナル追走1本目、先行するKANTAの後ろを、車間距離を縮めながらKANTAのマシンに詰め寄るカッレ・ロバンペラだったが、まさかのスピン。

 雨が降り続く会場では悲鳴が上がった。KANTA後追いの2本目、KANTAの走りは終始乱れることはなく、フィニッシュ。ここでKANTAの優勝が決まった。

 KANTAは第5戦のグランスノー奥伊吹でも優勝し、これで2連勝。そしてシリーズ4位からの大逆転で、シリーズチャンピオンも獲得した。「同じチームの正典が敗れたときに、スイッチが入りました。そこから優勝出来て、しかもシリーズチャンピオンを獲れたことは本当に嬉しいです」とKANTA。

 一方カッレ・ロバンペラは、予選でも負けて、ファイナルでも同じ相手に敗れたことがかなり悔しくて、走行後もヘルメットをなかなか脱げずに悔しさを噛みしめていた。

「チームの箕輪大也選手がチャンピオンのかかった大事な場面で勝てなかったことは申し訳なかったです。

 改めてドリフトは楽しいし、日本でドリフトができる環境を整えてくれているスタッフには感謝します。

 今度はラリージャパンでWRCドライバーとして日本に戻ってくるので、また日本のみなさんに合えることが楽しみです。

 是非ラリージャパンにも観にきてください」(カッレ・ロバンペラコメントの和訳)

 ドリフトとラリー、魅せる走りであること、マシンのパワーだけではなくたくさんのテクニックを駆使して走り抜くことなど、共通点はたくさんある。

マシンの作り方にしてもそうだ。これまであったドリフト仕様という考え方を、今回カッレ・ロバンペラのようにラリー的な考え方のセッティングで戦い、そして頂点に立つこともできる。

 様々な走らせ方や仕様を上手く組み合わせることで最強のドリフトマシンを作り得ることも可能だ。

 是非ともそんなマシンや仕様、そしてセッティングを見てみたいし、どんどん良い面を取り入れて欲しい。

 現在、実際に日本のドリフトドライバーも、ラリーからくるマシン作りや走らせ方を取り入れ始めている。

 若い世代では、練習方法もシミュレーターが主流になっており、どんどんドリフト競技も変化している。

 ラリードライバーがドリフトに参戦するように、ドリフトドライバーもラリーに参戦する日がやってくるかも知れない。モータースポーツの広がりは、まだまだ可能性を秘めているのだ。

【2023 FORMULA DRIFT JAPAN Rd.6 OKAYAMA INTERNATIONAL CIRCUIT(2023.10.7~8)】
優勝 KANTA JZX100 福島県 LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE
2位 カッレ・ロバンペラ GRカローラ KR 69 CUSCO Racing
3位 箕輪大也 GRヤリス 東京都 CUSCO Racing
4位 山下広一 BMW-E92 神奈川県 TMS RACING TEAM SAILUN TIRE
5位 髙橋和己 BMW-E92 千葉県 TMS RACING TEAM SAILUN TIRE
6位 ケン・グシ IS500 LA Team kazama with powervehicle

【2023 FORMULA DRIFT JAPAN シリーズランキング】
1位 KANTA JZX100 福島県 LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE  377 Point
2位 箕輪大也 GRヤリス 東京都 CUSCO Racing  370 Point
3位 髙橋和己 BMW-E92 千葉県 TMS RACING TEAM SAILUN TIRE  346 Point
4位 小橋正典 A90 青森県 LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE  345 Point
5位 蕎麦切広大 GR86 岐阜県 SHIBATA Racing YOKOHAMA  310 Point
6位 ケン・グシ IS500 LA Team kazama with powervehicles  260 Point
7位 松山北斗 A90 静岡県 CUSCO RACING  244 Point
8位 日比野哲也 A90 愛知県 GOODRIDE MOTORSPORTS  231 Point
9位 末永直登 RFZ34 福島県 ATLAS TIRE DRIFT Team ORANGE  229 Point
10位 山下広一 BMW-E92 神奈川県 TMS RACING TEAM SAILUN TIRE  225 Point
※リザルトにつきましては、主催者公式発表のものをご確認ください。

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