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WRC王者ロバンペラが、ポルトガルに続き福島でも優勝! ラリー&ドリフトで魅せた! 最強「GRカローラ」はどんなクルマ?

くるまのニュース編集部:金子高志

Red Bull GR COROLLAはどんなスペック? ドリフトの結果は?

 KR69 CUSCO Racingは、以前からフォーミュラDジャパンに参戦しているクスコを主体としたチームとなり、Red Bull GR COROLLAは様々なメーカーが最強の布陣を組んで作り上げています。

 ベースとなるGRカローラは、TOYOTA GAZOO Racingが用意。

 エクステリアは、ボンネットやサイドにRed Bullのロゴがあしらわれているほか、タイヤもドリフトが行いやすいようにハの字になっているなど、他のGRカローラとは異なるスタイルです。

 パワートレインは、世界的なチューニングメーカーとなるHKSが手掛けています。

 HKSは、GRカローラの心臓部をドリフトでも馴染みがあり「80スープラ」や「アリスト」に搭載される2JZ-GTEエンジンに換装。

 このエンジンにHKSが展開する「キャパシティ アップグレード キット(2JZ-GTE 3.4L KIT)」を装着することで排気量を純正の3リッターから3.4リッターにアップ。さらに、タービンやカムなど様々なHKS製のチューニングパーツを組み合わせています。

 これにより、1000馬力以上のパワーを生み出すことが可能だと言いますが、ロバンペラ選手から「このコースであれば900馬力(ブースト2.2)くらいが丁度いい』というコメントがあったことで最大限のパワーは出していないようです。

 またドリフトではタイヤの性能も重要な要素ですが、足元にはヨコハマタイヤが展開する「ADVAN NEOVA AD09(アドバン・ネオバ・エーディー・ゼロキュウ)」とスポーツ系アルミホイール「ADVAN Racing RS-DF Progressive(アドバン・レーシング・アールエスディーエフ・プログレッシブ)」を装着。

 ADVAN NEOVA AD09はストリート最強のスポーツタイヤを掲げるNEOVAシリーズの最新モデルとなり、フォーミュラDジャパンでも多くの選手が採用しています。

 そんな中、ロバンペラ選手のタイヤサイズはフロント255/35R18、リア275/40R19を装着し、ヨコハマの担当者は「ロバンペラ選手がADVAN NEOVA AD09を使用するのは今回が初となり、練習走行から本番にかけてタイヤの空気圧を調整しながら挑んでいます」と話しています。

 今回の参戦やGRカローラについて、ロバンペラ選手は次のように語っています(通訳)。

「ヨーロッパにおいて『エビスサーキット』はドリフトしてる人は有名で、ヨーロッパの友達も来てみたいと言っていました。

 エビスは初めてではなく、過去のイベントなどで3回走ったことがあります。

 エビス西コースは、第1コーナーの入り方が難しい他に、アウトコーナーの繋ぎや、アクセルのタイミングなどが難しいです。他はいい感じで走れていました。

 普段は、スープラでドリフトしていますが、今回のシェイクダウンしたばかりのGRカローラのほうがホイールベースが長くて乗りやすいです。どんどん良くなっています」

 またGRカローラのチーフエンジニアである坂本氏は次のように話しています。

「GRとしては、なにか面白いことをやろうというのが始まりです。

 その後、ロバンペラ選手がドリフトが好きだということで、急遽クスコさんがドリフト仕様に仕立ててくれました。

 ロバンペラ選手からは、ホイールベースやリアサスペンションの間の長さが他のGRモデルよりも長く安定していることからとても乗りやすいという声をもらっています。

 またドリフトは他のモータースポーツと異なるクルマの動きとなり、色々な部分で勉強になります。

 とくにリアサスペンションの取り付け位置は、変更できないためそこがどのような動きをするのか、という部分などすぐには市販車に落とし込めませんが、今後のクルマ作りには活かせることが出来ると思います」

 そんなラリー・ポルトガルで優勝した勢いを持つロバンペラ選手は、様々なメーカーの知見が合わさったGRカローラを巧みに操り、20日の予選ではトップ通過を果たしました。

 21日の朝に行われた練習走行では、2本を走り終えた際にGRカローラのオイルクーラーからオイルが漏れましたが、迅速なメカニック作業により決勝トップ32に進みます。

 トップ32では、対戦相手と五分の戦いとなり、サドンデス(ワンモアタイム)となるものの、ロバンペラ選手の圧倒的な走りで勝利を収めています。

 トップ16でも激闘の末サドンデスとなり、そのサドンデスでは僅差で勝利。続くトップ8では今大会初めてのストレート勝ちを収め、トップ4でも勝利。

 そして決勝戦では、「GRスープラ」とGRモデル同士の戦いが実現しました。先攻のロバンペラ選手はそれまで同様の勢いのある走りを披露します。

 そして入れた変えた2本目では先攻となったGRスープラの左リアタイヤがホイールから外れるというトラブルによりコースアウト。結果としてロバンペラ選手はラリーポルトガルに続き2週連続で優勝を果たしました。

 初のGRカローラを操りながら優勝したロバンペラ選手について審査員の谷口信輝氏(レーシングドライバー)は、次のように語っています。

「さすがWRC王者ですね。経験値やセンスも高いので、対戦相手に関係なく先攻では速さを武器に、後攻では先行車の動きを気にせずビタビタに追走するのが凄い。

 とくに最初のドリフト初めの動きでは前の片輪が浮くんですが、これは他の選手では見られずラリードライバーならではの動きですね。

 そして優勝まで、これでドリフトファンがラリーに、ラリーファンがドリフトに興味を示してくれると嬉しいです」

 激動の2週間を終えたロバンペラ選手は優勝インタビューにて、次のように述べています。

「ここ日本にきて新しいチャレンジ、そして新しいクルマ、このGRカローラはとても良いクルマで、調子よく走ってくれて、チームのみんなには本当に感謝しかありません。

 次の目標としては、まだ何をするか決めてないですが、ヨーロッパで色々(ラリーなど)ありますし、またチャンスがあればフォーミュラDドリフトジャパンに戻ってきたいです。

 それが叶うのはフィンランドにいる仲間達のお陰もあるので、本当に感謝しています。『次回は岡山大会にくる?』という質問ですが、約束はできないですけどなんとか来れるように頑張っていきたいなと思います」

 なおロバンペラ選手は、日本で2023年11月に開催されるWRC最終戦「ラリージャパン」にも参加予定ですが「日本に来るのはいつも嬉しいし、トヨタのドライバーとしてこれるのは素晴らしいことで楽しみにしている」とコメントしていました。

 ラリーとドリフトは、クルマの動かし方が異なる競技ですが、それでも神童と呼ばれるロバンペラ選手はすぐにGRカローラを乗りこなしていました。

 今回のドリフトで得た知見が今シーズンのWRCにも活かされ、そしてラリージャパンでの活躍に繋げてほしいものです。

これが世界王者の走り! ロバンペラ選手のドリフトを見る!(25枚)
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