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新型「GRヤリス」登場! 現行オーナーが感じた「新たな魅力」とは

山本シンヤ

まるでMTのような楽しさ! 新開発の「GR-DAT」とは? 発売までアジャイル開発はまだまだ続く!

 更に進化型では「MTと同等に戦えるAT」を目指して開発されたダイレクトシフト8速AT(DAT)が設定されたのも進化型のポイントです。

 筆者は以前、プロトタイプに試乗済み。当時は未完成ながら可能性はあると思っていたので、実は量産仕様への期待値は他の同業者よりも高いです。

 最大の特徴は「Dレンジでパドル操作不要の完全自動変速(ドライブモード:スポーツ)」にあります。

 ハードはトヨタ/レクサスが持つ8速ATをベースに高応答ソレノイドや高耐熱摩擦材への変更、制御はスポーツ走行用に開発された物(ブレーキの踏み込み方・抜き方、アクセル操作を細かくセンシング)でドライバーの意思を汲み取るギア選択を可能にしています。

 ちなみにギアレシオは1-6速がMTと同じで、7-8速は高速巡航用です。

 発進は当たり前ですがスムーズです。すぐにロックアップ状態になるのでアクセルを踏んだ時の反応やダイレクト感もMTに近いです。そしてシフトアップは「君はDCTですか?」と思うくらいの速さで行ないます。

 注目はコーナー進入でブレーキングを行なった時です。これまでのATのダウンシフト制御はドライバーの意思よりも遅い上に低い回転域でしか作動しませんでしたが、DATは「MTだったらここでシフト操作するよね」と言う絶妙なタイミングに自動でシフトダウンをしてくれます。

 今回の走行では強めのブレーキングをするコーナーでのシフトダウン制御はほぼ完ぺきでしたが、軽めのブレーキングで進入するコーナー、今回の袖ヶ浦で言えば5-6-7コーナーでは意図通りのシフトダウン(4速→3速)をしてくれず。

 最初は自分のドライビングがおかしいのかと思い、開発ドライバーの大嶋和也選手に同乗させてもらうと同じコーナーでシフトダウンする時としない時がある事を確認。

 大嶋選手も「確かにおかしい、朝イチのチェック走行と違いますね」とエンジニアにその旨を伝えると、試乗会場が開発現場へと一転。

 すでにデータの読み取り→原因探求を行ない始めたエンジニアの姿を見て、GRヤリスが普段から行なっている「アジャイルな開発現場」を少しだけ見れたような気がしました。

 原因は恐らくセンサー系の不具合でしょう。正直言うと期待値が高かったが故にガッカリしたのも事実ですが、筆者は「発売までには、必ず直します!」と語った担当エンジニアの言葉を信じようと思います。

 加えて、新たにGPSによる位置判定によりサーキットのようなクローズドコースではアンチラグ制御、スピードリミッター上限速度の引き上げが可能な「サーキットモード」を用意されています。各機能はスマホのアプリを用いたカスタマイズも可能になっています。

 アンチラグ制御とはターボ車のアクセルオフ時にみられるレスポンスの遅れを解消するシステムですが、有無を試すとアクセルのツキの良さやトルクの立ち上がりの鋭さを実感。

 感覚よりも蹴り出しが強くなるので慣れが必要ですが、タイムアタックなどでは大きな武器になってくれるでしょう。

クルマ自体の進化はどう? 現行オーナーが感じた部分とは
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