トヨタ新型「GRカローラ」今秋発売! スポーティさ増したシアンメタリック仕様が凄い!? 「全然違う!」進化の中身とは
GRカローラ改良! なにが変わった?
2023年秋頃の発売を予定している「GRカローラ」の改良モデル。
今回の一部改良では、「意のままの走りを更に進化させるため、運転操作に対するダイレクト感とスタビリティを向上」させたと言いますが、具体的にはどのような部分が変わったのでしょうか。
GRカローラの登場から1年、初の一部改良が行なわれました。
マスタードライバー・豊田章男氏の「発表はゴールではなくスタート」の言葉通り、モータースポーツ(スーパー耐久シリーズに参戦の水素GRカローラ)からフィードバックされた様々なアイデアが盛り込まれています。
ただし、今回はRZのみで販売台数は限定550台(モリゾウエディションは無し)ですが、半導体不足が緩和の傾向で販売台数を増加させる可能性があると言います。
しかし、抽選申し込みは8月23日から9月11日と終了今から購入ができないのがもどかしいですが、どのような一部改良が行われたのでしょうか。
まず見た目の変更です。新たにボディカラー「シアンメタリック×内装色「ブラック×ブルー」を50台限定(550台の内数)で設定。
シアンメタリックはベースとなる「カローラスポーツ」の前期モデルに設定されていた色で、「カローラからのGRカローラの繋がり」を表現していています。
スポーツ系のモデルですが、ボディカラーの影響もあり爽やかな印象を受けます。
走りの変更はマニアックかつ細かい部分が中心で、そのひとつが「締結剛性向上ボルト」の採用です。
具体的にはフロントサスペンションメンバーとステアリングギアボックスを繋ぐ2本のボルトはフランジ部をリブ形状に変更した物を採用(ボルト径は変更なし)。
更にリアサスペンションメンバーとボディを繋ぐボルトはフランジ部を拡幅(22→24mm)した物を採用しています。
トヨタは以前からボルト締結の重要性に注力し、直近では初代86(C型:フランジ部の厚みが増えたモノ)やレクサスモデルのホイール締結変更(ナット→ボルト)などを実施しています。
「たかが、ボルト」と思いきや、走りの中でも特にステアリング切り出しのスッキリ感やリニアな応答性、サスペンションのスムーズな動きなどが大きくレベルアップしています。
GRカローラの開発責任者・坂本尚之氏は、今回のポイントについて次のように話してくれました。
「スーパー耐久シリーズで水素GRカローラを走らせていますが、ドライバーから『締結剛性上げたいよね』と言うリクエストが出ていました。
レースカーではボルト締めのトルクアップで対応していますが、厳密に言うとボルトは伸びます。
レースカーは毎回交換するため問題は起きませんが、量産車ではそうはいきません。
ボルト締めのトルクアップと同じ効果を持たせつつ、量産車としての信頼・耐久を両立させるアイデアが、今回のボルトになります」
ちなみにリアサスペンションメンバーとボディを繋ぐボルトはフロント2本のみ変更で、リア2本は変更なし。
「全部交換も試してみましたが、リアが勝ち過ぎてしまいバランスを考慮すると、フロント2本の交換が最適……と言う判断です」(前出坂本氏)
更に空力操安向上のために設けられたフロントバンパーダクト出口形状をフロントから入った空気がタイヤぎりぎりを流れるように角度を最適化。
この辺りはデータ解析に加えて実際に走行したフィーリングを元にトライ&エラーで煮詰められたと言います。
プレスリリースに記載されている変更内容はこの2点ですが、実は他にも手が入っています。
それは前後バンパー四隅の裏側に貼られた「アルミテープ」と「バッテリーアース」の追加です。どちらもクルマの帯電を除去するアイテムとなります。
世の中では「オカルトアイテム」という言われ方もしますが、原理はハッキリしています。
空気は+に帯電、クルマも+に帯電(電装品の影響)しているので反発力で空気が剥離してしまい空気の流れは乱れます。
つまり、走行中の空気は帯電の影響でエンジニアの想定通りにボディの上を綺麗に流れていません。
その解決策が「クルマ側の帯電を除去」でした。当初はアンテナなどもトライしたそうですが、最も効果があったのがアルミテープです。
ただ、勘違いして欲しくないのは結果として走りは良くなるものの、実際は「本来持っていた性能になった」が正解です。
そんなアルミテープは空力性能改善のみならず、様々な部位にも効果があります。
例えば、吸排気系(大きく言えばこれも空気の流れ)やショックアブソーバー(帯電は流体にも影響)などにも影響しますが、筆者は他車でのテストでそれらを体感済みです。
ただひとつ疑問だったのは、帯電の除去の重要性を知りつつも、最初から採用しなかった事。
坂本氏に聞いてみると「アルミテープありきで設計してしまうと、理想の形状を突き詰められなくなります。そのため、まずはシッカリ作り込んだ上で投入すべきだと考えました」と語っています。