激動の戦い! 100周年大会となった「ル・マン24時間レース」はどうだったのか
2023年6月10日から11日に開催されたル・マン。
100周年という記念すべき節目を迎える今大会でTOYOTA GAZOO Racingはキャデラック、フェラーリ、プジョー、ポルシェといった最多となる16台のハイパーカーが競い合う中で6連覇に向けて挑みました。
様々な出来事がありましたが、レースはどうだったのでしょうか。
レースにおいては公式テスト前にハイパーカークラスの「BoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)」が行われたことが大きな話題となりました。
そして6月8日には本番直前の公式テストとトップ8のスターティンググリッドを決定するハイパーポールが行われました。
TGRの2台のGR010 HYBRIDは、それぞれ3番手、5番手グリッドから決勝レースのスタートを切ることになります。
TGRは、これまで5年連続でル・マンを制してきましたが今回は、キャデラック、フェラーリ、プジョー、ポルシェといった最多となる16台のハイパーカーが競い合う中でのレースとなりました。
6月10日には決勝レースがスタート。1周目からアクシデントが頻発、コースの一部が豪雨に見舞われるなど、序盤から荒れた展開となる中、レースの4分の1となる6時間を経過した時点で2台のGR010 HYBRIDは、8号車が着実な走行を続け6位。7号車は、チームメイトから数秒差の7位。
しかし7号車は、スタート8時間後の深夜0時を過ぎたところで不運なアクシデントとして、後続から追突され、修復不能なダメージを負ったため、リタイアを余儀なくされました。
残った8号車は、ル・マンで最後までトップ争いに生き残り、フェラーリとの一騎打ちを繰り広げます。
そして、24時間にわたる長い戦いの末、8号車は優勝したフェラーリ51号車と同一周回、かつ僅か1分21秒793差の2位でチェッカーを受けることとなりました。
ル・マンは残念な結果に終わりましたが、8号車はドライバーズタイトル争いで2位との差を25ポイントに拡大します。
マニュファクチャラーズタイトル争いでは、首位につけるTGRと2位フェラーリとの差は18ポイントに迫ることとなりました。
WEC2023シーズンは残り3戦。次戦はわずか4週間後の7月9日、イタリアのモンツァ6時間です。
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今回のル・マン24時間レースについて、トヨタの社長そしてTOYOTA GAZOO Racing Europe 会長の佐藤恒治氏は次のように述べています。
「100周年という記念の年に、6連覇という大きなプレッシャーがかかる大会で、トヨタWECチームは全力を出し切りました。
応援してくださった全ての皆様に、心から感謝申し上げます。チームと共に1年を歩んできて、私はチームの色々な姿を知っています。
可夢偉代表が、日々チーム全員と対話し、闘いの意義やチームワークの大切さを現場で伝えてきたことを。マイク、ホセ、セブ、ブレンドン、亮、そしてドライバー可夢偉、ドライバー達が、アスリートとして自らを追い込み、速いクルマを創ってきたことを。
メカニックが、この日のために一つひとつの作業を磨き、タイヤ交換の練習を毎日毎日、繰り返し行ってきたことを。一昨年と昨年のル・マンで起きたトラブルをエンジニアが見事に解決し、クルマの信頼性を格段に高めてくれたことを。
みんなで思いをひとつにして、チームはモリゾウと共に、トヨタのWECへの挑戦を支え続けた内山田と共に、闘いに挑みました。
どんな状況であっても、諦めずに努力を積み重ねて挑戦した結果だから、チーム全員を私は誇りに思います。全員がヒーローでした。
私たちの挑戦には、いくつか失敗もあったかもしれません。しかし、失敗は挑戦をした者にしか起きないのです。限界を超える挑戦には、途方もない勇気が要ります。その勇気こそが、未来を変えていく原動力だと私は思います。
今年のル・マンは、次の100年をどのように迎えるべきなのかを私たちに教えてくれました。
たくさんの応援をありがとうございました。私たちは、これからも闘い続けます」
またモリゾウ氏は次のようにコメントしています。
「今年のル・マン24時間レースは”場外の戦い”が、みんなのアスリートとしての戦いを邪魔していました。
このことが本当に悔やまれて、残念で、申し訳ない気持ちです。しかし、そんな中でチームのみんなは正々堂々と戦ってくれました。
2位完走の結果は本当に素晴らしいです。みんな、ありがとう。この準優勝をみんなで自慢しましょう!チームモリゾウ全員で戦った証として胸を張りましょう!」