「GRスープラ GT4」がめちゃ凄かった! 特別なマシンを体感! 感激する魅力はいかに【試乗】
レーシーだけど乗り味は「まんまGRスープラ」!?
そんなGRスープラ GT4に、富士スピードウェイの本コースで試乗をしてきました。
日本でGRスープラ GT4は、スーパー耐久シリーズ(ST-Zクラス)とインタープロトシリーズ(TOYOTA SUPRAクラス)に参戦していますが、今回のマシンはSHADE RACINGがインタープロトシリーズに参戦する885号車です。
ちなみに今回、レーシングドライバーではなく筆者(山本シンヤ)が乗る事になったのは、恐らく次の理由だと推察されます。
まずGT4マシンの特徴である「ジェントルマンドライバー(スーパー耐久シリーズの主催者が認めた40歳以上のアマチュアドライバー、もしくは60歳以上の全ドライバー)向けのマシン」であること、そしてベースのGRスープラ市販モデルとの繋がりを伝えるうえで、筆者がピッタリな人材だったのでしょう。
これまで様々なレーシングカーやラリーカーに試乗したことのある筆者ですが、ナンバー付きや入門フォーミュラが主で、本格的なマシンは初。
試乗前に「何かあったら自己責任」の念書を書き、「コースアウトしたら/クラッシュしたら」のレクチャーを受けると、「自分は本当に乗れるのか?」と、だんだん不安になっていきます。
ただ「無理せず、転がす程度にしておこう」と開き直り、運転席に座ります。
ロールケージが装着されているので乗り込みは大変ですが、乗り込んでしまえば窮屈な感じはありません。
OMP製のシートは欧米の大柄体形に合わせたサイズで、筆者でもサイドにクッションを追加しないとユルユル。シートは固定式(重量バランス適正化)ですがペダルが前後に調整可能で、ステアリングはチルト&テレスコ機能付きなので、ポジションはバッチリ決まります。
ステアリングはレクサス「RZ」バイワイヤ仕様のような異形で、様々なスイッチがレイアウトされていますが、解りやすい表示で、直感操作も楽。フル液晶のメーターの表示項目の瞬時の視認性は、量産車よりも高いレベルだと感じました。
ちなみにGRスープラ GT4には、パワステやABS、トラクションコントロールも装着されています。ABS/トラクションコントロールはその効きをダイヤルで調整することも可能(OFFにもできる)です。
ブレーキを踏んだ状態でステアリング右下のスタートスイッチを押すと、エンジンが始動。勇ましいサウンドが、と言いたい所ですが、音量は量産車+αでアイドリングも安定しているので、気難しい印象は皆無です。
パドルでギアを1速に入れてスタート。ATなのでブレーキを離すとクリープ現象でスルスルと走り始めるため、レーシングカーに多い「発進時の気難しさ」は全くありません。
1周目は様子を見るためにペースを抑えての走行を行ないましたが、その印象はズバリ「これ、まんまGRスープラですね!」です。
もちろん、前後左右の姿勢変化の少なさや、スリックタイヤ(強力なグリップ)と空力アイテム(ダウンフォース)などの相乗効果で、まさに路面に張り付くようなコーナリングなどは「さすがレーシングカー!」だと感じる部分です。
しかし乗り味の部分はベースのGRスープラ市販モデル(以下、ベース車)に近く、むしろベース車よりも「乗りやすい」と感じました。
ベース車は、デビュー当初のピーキーな印象も薄まり、最新モデルでは素直で安心感のあるハンドリング特性に熟成されましたが、GRスープラ GT4はベース車のいいところはそのままに、よりダイレクト、よりレスポンシブ、そしてより一体感のある走りがプラスされていました。
具体的には、進入から旋回、そして脱出までというコーナリング時の一連のクルマの動きはベース車よりも鋭いのに、連続性が高くクルマの動きの予測がしやすいので、一体感の濃度が違います。
ラフなアクセル操作をするとリアがスパッと乱れる挙動はベース車と同じですが、その動きにピーキーさはないので対処もしやすいなど、「懐の深さ」がより増しているのです。
その結果、クルマとドライバーとの信頼関係が短い時間で構築できるため、「誰でも」「安心して」「速く」「楽に」走らせることが可能なんだろうなと考えられます。