トヨタ MRスパイダー解説

　MRスパイダーはトヨタ傘下で特装車の製造を行っていたトヨタテクノクラフト（現トヨタカスタマイジング＆ディベロップメント）が、1996年から1999年にかけて92台限定で生産したクーペ・オープンカーです。

　日本初の市販用ミッドシップスポーツカーで、そのスポーティな走りと個性的なエクステリアで人気を博したMR2（SW20型）の2代目をベースに、オープンカー仕様に改造されたモデルでした。

　ボディサイズは2代目MR2と同じで、全長4170mm、全幅1695mm、全高1235mm。初代モデルのMR2よりも一回り大きなサイズととなっています。

　エンジンもMR2同様の直列4気筒の2リッター自然吸気エンジンで、ベース車であるMR2で選択できたターボモデルは製造されませんでした。

　これはMR2をスパイダーに改造するにあたって発生した、オープンカー特有の車体剛性の弱さに起因しています。トランスミッションは5速MTに加え4速AT仕様も製造されました。

　ベース車のMR2（SW20型）には、I型からV型のマイナーバージョンがあり、スパイダーはIII型以降のモデルをベースとしています。

　III型の特徴はエンジンと剛性のさらなる強化に加え、スポーツABSを搭載したことでよりスポーティな乗り心地です。

　IV型ではABSが4輪を別々に制御する4チャンネル方式に変わったほか、エクステリアの細部が変更され、V型では軽量化のために4チャンネル方式から3チャンネル方式に再び変更し、ホイールもより軽いものに変更されるなど、軽くて使い勝手の良いモデルになっています。

　92台の生産数のうち3台は試作車で、市販されたのはわずか89台といわれており、現在ではめったに目にすることのできない希少車種です。現在の平均価格は約373万円（2020年4月調べ）です。